AppleからmacOS 15.6がリリースされました。この最新バージョンはいつから利用できるのか、自分のMacの機種は対応しているのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回のアップデートは、新しい機能の追加というよりも、主にセキュリティアップデートが中心です。多数の脆弱性への対応や、厄介なバグの修正が含まれており、アップデートには大きなメリットがあります。一方で、万が一の不具合に備えた再インストールの方法や、古いOSのサポート期限についても知っておくと安心です。
この記事では、macOS 15.6に関するこれらの情報を網羅的に解説します。
- macOS Sequoia 15.6の主な変更点と修正内容
- 強化されたセキュリティと多数の脆弱性への対応
- アップデートのメリットと対応するMacの機種
- 安全な更新手順とトラブル発生時の対処法
mac os 15.6のアップデート内容を解説

- 最新バージョンの配布はいつから?
- 重要なセキュリティアップデートを適用
- 多数の脆弱性を修正して安全性を強化
- Finderなどで発生していたバグを修正
- 今回のアップデートで追加された新機能
- アップデートで得られるメリットとは
最新バージョンの配布はいつから?
macOS Sequoiaの最新バージョンとなる15.6は、現地時間2025年7月29日(日本時間7月30日)に正式リリースされました。これは、macOS Sequoiaの登場から6回目のメジャーアップデートにあたります。
今回のアップデートは、すべてのユーザーに推奨されており、Macの「システム設定」内にある「ソフトウェアアップデート」からインストールが可能です。アップデートのビルド番号は「24G84」とされており、お使いのMacが最新の状態であるかを確認する際の参考にできます。
前回のバージョン15.5からは約2ヶ月ぶりの更新となり、秋に予定されている次期メジャーOS「macOS Tahoe」のリリースを前に、現行OSの安定性と安全性を高めるための重要な位置づけのアップデートと考えられます。
重要なセキュリティアップデートを適用
今回のmacOS 15.6アップデートは、新機能の追加よりもセキュリティの強化に重点が置かれています。Appleは公式に「このアップデートには重要なバグ修正とセキュリティアップデートが含まれ、すべてのユーザに推奨されます」と発表しています。
これは、日々発見されるサイバー攻撃の脅威からユーザーを保護するための措置です。特に、インターネットに接続してMacを使用する以上、OSを常に最新の状態に保つことは、個人情報や重要なデータを守る上で極めて大切なことになります。
アップデートを後回しにすると、既知の脆弱性を突いた攻撃を受けるリスクが高まるため、特別な理由がない限り、早めに適用することが賢明です。
多数の脆弱性を修正して安全性を強化
macOS 15.6では、CVE(共通脆弱性識別子)ベースで合計87件もの脆弱性が修正されました。これは、OSの根幹に関わるものから、アプリケーション、サードパーティ製コンポーネントに至るまで多岐にわたります。
特に深刻度が高いものとして、root権限(管理者以上の最も高い権限)を不正に取得される可能性のある脆弱性が9件も含まれていました。これらが悪用されると、攻撃者にシステムを完全に乗っ取られる恐れがあります。
中でも注目すべきは「CVE-2025-6558」という脆弱性への対応です。
ゼロデイ攻撃にも悪用された「CVE-2025-6558」を修正
この脆弱性は、Webページを描画するコンポーネントに存在し、細工されたページを閲覧するだけでSafariがクラッシュしたり、任意のコードを実行されたりする危険性がありました。
もともとはGoogleのChromiumプロジェクトで発見されたもので、発見された時点ですでにゼロデイ攻撃(修正パッチが提供される前に開始される攻撃)が確認されていました。そのため、米国のCISA(サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁)が管理する「悪用が確認された脆弱性カタログ(KEV)」にも登録されているほど危険視されていたものです。
今回のアップデートにより、Safariブラウザを利用する上での大きなリスクが一つ取り除かれたと言えます。
脆弱性カテゴリ | 修正件数(一部) | 影響の例 |
カーネル関連 | 9件以上 | root権限での任意のコード実行、情報漏えい |
WebKit (Safari) | 17件以上 | サンドボックスの突破、メモリ破損、DoS攻撃 |
サードパーティ部品 | 複数 | アプリケーションのクラッシュ、コード実行 |
Finderなどで発生していたバグを修正
macOS 15.6は、セキュリティ強化だけでなく、ユーザーの利便性やシステムの安定性に関わる重要なバグ修正も行っています。
特に大きな修正点として、FinderやApple Configuratorを使ってDFU(Device Firmware Update)モードからデバイスの復元を試みた際に、処理に失敗することがあるという重大なバグが解消されました。この問題は、最悪の場合、デバイスが起動しなくなる、いわゆる「文鎮化」のリスクを伴うものでした。今回の修正により、ユーザーはより安全にデバイスの復元作業を行えるようになります。
また、開発者やシステム管理者向けですが、いくつかのコマンドラインツールの不具合も修正されています。
- softwareupdateコマンドの修正: macOS 15.4から発生していた、
--fetch-full-installer
オプションでmacOSのフルインストーラーをダウンロードできない問題が解消されました。 - 日本語環境のコマンド修正: 日本語環境で
date
やcal
コマンドを実行した際に、正しい結果が表示されない不具合が修正されています。
これらの修正は、特定のユーザーにとっては非常に重要な改善点です。
今回のアップデートで追加された新機能
前述の通り、macOS 15.6アップデートには、ユーザーが直接的に体感できるような目立った新機能は含まれていません。
Appleは現在、今年秋の一般公開を目指して次期メジャーOSとなる「macOS Tahoe」の開発を進めており、大規模な新機能やデザインの変更はそちらに盛り込まれる予定です。
したがって、今回のアップデートの主な目的は、次期OSへの移行を前に、現在のmacOS Sequoiaの完成度を高め、セキュリティホールやバグを徹底的に潰しておくことにあります。機能面での変化を期待しているユーザーにとっては少し物足りないかもしれませんが、システムの安定稼働のためには不可欠なアップデートです。
アップデートで得られるメリットとは
macOS 15.6へアップデートする最大のメリットは、何と言っても「セキュリティの向上」です。合計87件もの脆弱性が修正されたことで、ウイルス感染、不正アクセス、情報漏えいといった様々なサイバー攻撃のリスクを大幅に低減できます。
特に、すでに悪用が確認されているゼロデイ脆弱性「CVE-2025-6558」が修正されたことは、Safariを日常的に利用するすべてのユーザーにとって大きな安心材料です。
また、DFUモードでの復元失敗やコマンドラインツールの不具合といった、システムの安定性を損なう可能性のあったバグが修正された点も見逃せません。これにより、より快適で安定したMacの利用環境が手に入ります。目に見える変化は少なくても、OSの根幹部分が強化されることの恩恵は非常に大きいと考えられます。
mac os 15.6へ安全に更新する方法

- アップデートに対応している機種一覧
- 旧OSのサポート期限もあわせて確認
- 問題発生時の再インストール手順
- まとめ:早めにmac os 15.6へ更新を
アップデートに対応している機種一覧
macOS 15.6 Sequoiaへアップデートするには、お使いのMacが対応機種である必要があります。macOS Sequoiaをインストールできるモデルは以下の通りです。
モデル | 対応する年式 |
iMac | 2019年以降 |
iMac Pro | 2017年以降(全モデル) |
Mac Studio | 2022年以降(全モデル) |
MacBook Air | 2020年以降 |
Mac mini | 2018年以降 |
MacBook Pro | 2018年以降 |
Mac Pro | 2019年以降 |
ご自身のMacのモデルや年式が分からない場合は、画面左上のアップルメニューから「このMacについて」を選択することで確認が可能です。リストにない古いモデルではmacOS Sequoia 15.6を利用できないため、ご注意ください。
旧OSのサポート期限もあわせて確認
Appleは、最新OSだけでなく、過去のOSに対しても一定期間セキュリティアップデートを提供しています。今回のmacOS 15.6のリリースと同時に、一つ前の「macOS Sonoma 14.7.7」と、二つ前の「macOS Ventura 13.7.7」も公開されました。
これは、ハードウェアの制約や業務で使うアプリケーションの互換性問題などで、すぐに最新OSへ移行できないユーザーを保護するための措置です。一般的に、Appleは最新OSとその前2世代、合計3世代のmacOSに対してセキュリティアップデートを提供する傾向にあります。
- macOS Sonoma 14.7.7: 50件の脆弱性を修正
- macOS Ventura 13.7.7: 41件の脆弱性を修正
お使いのMacがSequoiaに対応していない場合でも、SonomaかVenturaが利用できるのであれば、これらのセキュリティアップデートを適用することで、安全性を高めることが可能です。
問題発生時の再インストール手順
アップデートは基本的に安全に行えますが、予期せぬトラブルが発生する可能性はゼロではありません。万が一、アップデート後にMacの動作が不安定になったり、起動しなくなったりした場合は、macOSの再インストールが必要になることがあります。
再インストールを行う前の最も重要な準備は、データのバックアップです。Time Machineなどを使って、必ず事前に全ての重要なファイルのバックアップを取っておきましょう。
macOSの再インストール手順
- バックアップの確認: Time Machineや他の方法で、データが完全にバックアップされていることを確認します。
- macOS復旧モードで起動: Macの電源を入れ、すぐに電源ボタンを長押しします(Appleシリコンの場合)。Intel Macの場合は「command + R」キーを長押しします。
- オプションの選択: 起動オプションの画面が表示されたら、「オプション」を選択して「続ける」をクリックします。
- macOSの再インストール: ユーティリティウインドウから「macOS Sequoiaを再インストール」を選択し、画面の指示に従って進めます。
この手順により、OSのみが上書きで再インストールされ、個人のデータは通常保持されます。しかし、万が一に備えたバックアップは不可欠です。
まとめ:早めにmac os 15.6へ更新を
この記事では、macOS 15.6アップデートの詳細について解説してきました。最後に、今回のアップデートの重要なポイントをまとめます。
- macOS 15.6は2025年7月29日(現地時間)にリリースされた
- 主な目的はセキュリティ強化とバグ修正である
- ユーザーが体感できる大きな新機能の追加はない
- 合計で87件にのぼる多数の脆弱性が修正された
- 中にはすでに攻撃が確認されているゼロデイ脆弱性も含まれる
- DFUモードでの復元失敗など重大なバグが解消されている
softwareupdate
コマンドの不具合も修正された- アップデートの最大のメリットはセキュリティリスクの低減
- システムの安定性向上も大きな利点と言える
- アップデートは全ユーザーに推奨されている
- 対応機種はiMac (2019)やMacBook Pro (2018)以降など
- 旧OSのSonomaやVenturaにもアップデートが提供されている
- 更新前には必ずデータのバックアップを取ることが大切
- 不具合時はmacOS復旧モードから再インストールが可能
- 次期メジャーOS「macOS Tahoe」は秋に登場予定