iPhoneのインターネット共有(テザリング)がすぐ切れる問題でお困りではありませんか。外出先での作業中に接続が不安定で集中できなかったり、しばらく操作しないと90秒でオフになったりと、その原因が分からず有効な対策に悩む方も多いはずです。しかし、実はいくつかの設定変更や工夫で、接続を格段に安定させることが可能です。
この記事では、なぜiPhoneのインターネット共有が切れるのかという根本的な原因から、誰でも簡単にできる対策、さらには常時接続を実現するための少し応用的な方法まで、段階的に分かりやすく解説します。アプリやショートカットを活用した効率化のヒントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
- テザリングが自動で切断される具体的な原因
- 設定変更だけでできる簡単な接続安定化の対策
- Wi-Fi、Bluetooth、USB接続の最適な使い分け
- アプリやショートカットを活用した応用的なテクニック
なぜ?iphone インターネット共有が切れる主な原因

- 接続が切れる根本的な原因とは
- すぐ切れるのはiPhoneの仕様?
- スリープ後90秒で自動オフになる仕様
- 通信環境による不安定な接続
接続が切れる根本的な原因とは
iPhoneのインターネット共有が切れてしまう現象には、主に2つの根本的な原因が考えられます。1つ目はiPhone自体の「省電力設計」、そして2つ目は「利用している通信環境」です。
まず、iPhoneはバッテリーを長持ちさせるために、非常に優れた省電力機能が搭載されています。インターネット共有はバッテリー消費が比較的大きい機能のため、一定の条件下で自動的に機能をオフにし、不要な電力消費を抑えようとします。これが、意図せず接続が切れてしまう大きな理由の一つです。
次に、テザリングはiPhoneが受信しているモバイルデータ通信(4Gや5G)の電波を他の機器に分け与える仕組みです。そのため、元となるモバイルデータ通信の接続状況が不安定であれば、テザリングの接続も当然不安定になります。例えば、高層ビルの屋内や地下、山間部など、電波が届きにくい場所では接続が途切れやすくなる傾向があります。これらのiPhone内部の仕様と外部の環境要因が、接続が切れる主な原因と言えます。
すぐ切れるのはiPhoneの仕様?
インターネット共有が短時間で、あるいは「すぐ切れる」と感じる場合、その多くは故障ではなくiPhoneに元々備わっている「仕様」によるものです。特にWi-Fi経由でテザリングを行っている際に、この現象は顕著に現れます。
前述の通り、iPhoneはバッテリー駆動時間を最大化するように設計されています。インターネット共有機能は起動しているだけで電力を消費するため、Appleは「現在、積極的に使用されていない」と判断した場合に、機能を自動でオフにする仕組みを導入しています。具体的には、テザリングに接続しているパソコンやタブレットから一定時間データ通信が行われないと、iPhoneは「もう使われていない」と判断し、バッテリー節約のために接続を切断するのです。
このため、ウェブページをじっくり読んでいる時や、文章作成に集中していてバックグラウンドでの通信が発生していない時などに、突然接続が切れてしまうことがあります。これは不具合ではなく、あくまでも省電力と利便性のバランスを考慮したiPhoneの仕様であると理解することが、対策を考える上での第一歩となります。
スリープ後90秒で自動オフになる仕様
iPhoneのインターネット共有が切れる仕様の中でも、特に具体的で代表的なものが「スリープ後90秒(1分30秒)で自動的にオフになる」というルールです。これは主にWi-Fiテザリング利用時に適用されます。
この仕様が作動する条件は、以下の2点です。
- インターネット共有に接続しているデバイスが1台もない状態になること。
- その状態でiPhoneの画面がオフ(スリープ状態)になること。
この2つの条件が揃うと、約90秒後にはiPhoneからのWi-Fi電波の発信が停止されます。再度テザリングを利用したい場合は、iPhoneのスリープを解除し、「設定」から「インターネット共有」の画面を開くか、コントロールセンターのインターネット共有アイコンを長押しして画面を表示させる手間が発生します。
ユーザーが「切れた」と感じる多くの場面は、この仕様が原因です。例えば、一度テザリングを切断した後、再接続しようとしてもiPhoneのアクセスポイントが見つからないのは、iPhoneがスリープして90秒が経過し、Wi-Fiの発信を停止してしまったためと考えられます。
通信環境による不安定な接続
iPhoneの内部的な仕様だけでなく、利用している場所の通信環境も接続の安定性に大きく影響します。テザリングの品質は、親機であるiPhoneが受け取るモバイルデータ通信の品質に直結するためです。
モバイルデータ通信の電波強度
iPhoneの画面右上に表示されるアンテナマークが少ない状態、つまり4Gや5Gの電波が弱い場所では、インターネットへの接続自体が不安定になります。このような状況でテザリングを行っても、通信速度が遅くなったり、接続が頻繁に途切れたりするのは避けられません。特に、コンクリートで囲まれた建物の中、地下鉄、エレベーター内などは電波が届きにくいため注意が必要です。
電波干渉
Wi-Fiテザリングは、他の多くの無線通信と同じ2.4GHz帯や5GHz帯の周波数帯を利用しています。そのため、周囲に他のWi-Fiルーターが多数存在していたり、電子レンジやコードレス電話、Bluetooth機器などが作動していたりすると、「電波干渉」が発生して通信が不安定になることがあります。特にカフェやイベント会場など、多くの人がWi-Fiを利用する環境では、干渉によって接続が切れやすくなる傾向があります。
iphone インターネット共有が切れる問題の解決策

- まず試したい基本的な対策とは
- 自動ロックをオフにする設定方法
- 接続を安定させるテザリング方法
- 常時接続を維持する裏ワザ
- ショートカットで再接続を効率化
- 特定アプリの活用で接続を維持
- iphone インターネット共有が切れる問題の総まとめ
まず試したい基本的な対策とは
接続が不安定な際に、複雑な設定変更を行う前に試すべき基本的な対処法がいくつかあります。これらは一時的なソフトウェアの不具合を解消し、状況を改善させる可能性があるため、最初に行うことをお勧めします。
iPhoneと接続機器の再起動
最も簡単で効果的な方法の一つが、iPhoneと、テザリングで接続しているパソコンやタブレットの両方を再起動することです。長時間連続で使用していると、デバイスの内部で一時的なエラーや不要なデータが溜まり、動作が不安定になることがあります。再起動することで、システムがリフレッシュされ、問題が解消される場合があります。
iOSとキャリア設定のアップデート
使用しているiPhoneのiOSが古いバージョンである場合、テザリング機能に関するバグが含まれている可能性があります。常に最新のiOSにアップデートしておくことで、既知の問題が修正され、パフォーマンスやセキュリティが向上します。 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から確認できます。 また、通信事業者(キャリア)から提供される「キャリア設定アップデート」も、通信の安定性に関わる重要な更新です。通知が表示された際は、速やかに適用しましょう。
ネットワーク設定をリセット
さまざまな通信関連の問題を解決するのに有効なのが、ネットワーク設定のリセットです。これを実行すると、今までに接続したWi-FiのパスワードやVPN設定、モバイルデータ通信設定などが初期状態に戻りますが、テザリングに関する根深い問題が解決することがあります。 「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「リセット」→「ネットワーク設定をリセット」の手順で実行できます。ただし、Wi-Fiパスワードの再入力が必要になる点には注意してください。
自動ロックをオフにする設定方法
前述の通り、iPhoneがスリープ状態になってから約90秒でWi-Fiテザリングが自動オフになる仕様への直接的な対策として、「自動ロック」機能を無効にする方法が非常に有効です。これにより、iPhoneの画面が常時点灯した状態になり、スリープへの移行を防ぐことで、テザリングの自動切断を回避します。
設定方法は以下の通りです。
- iPhoneの「設定」アプリを開きます。
- 「画面表示と明るさ」を選択します。
- 「自動ロック」の項目をタップします。
- 選択肢の中から「なし」を選びます。
メリット
この設定の最大のメリットは、テザリングを使いたい時に、iPhoneがスリープしていてもWi-Fiの電波を探し続けられるため、接続したいデバイス側からいつでもスムーズに接続を開始できる点です。作業の途中で接続が切れるストレスから解放されます。
デメリットと注意点
一方で、この方法にはいくつかのデメリットも存在します。まず、画面が常に点灯しているため、バッテリーの消費量が大幅に増加します。モバイルバッテリーを併用するなどの対策が欠かせません。 また、有機ELディスプレイ(OLED)を搭載したiPhoneの場合、同じ画面を長時間表示し続けることによる「画面の焼き付き」のリスクが高まります。 さらに、画面がロックされないため、カバンの中での誤操作や、第三者に操作されるセキュリティ上のリスクも考慮する必要があります。この設定は、あくまでテザリングを長時間安定して使いたい特定の状況下での利用に留め、普段は元の設定に戻しておくのが賢明です。
接続を安定させるテザリング方法
iPhoneのテザリングには、Wi-Fi接続以外にもBluetooth接続とUSB接続があり、それぞれに異なる特性があります。状況に応じてこれらの接続方法を使い分けることで、通信の安定性を高めることが可能です。
接続方法 | 通信速度 | 安定性 | バッテリー消費 | 主な特徴と最適な用途 |
Wi-Fi接続 | 速い | △ (環境による) | 多い | 複数台の同時接続が可能で利便性が高い。一般的なウェブ閲覧や動画視聴向き。 |
Bluetooth接続 | 遅い | 〇 (切れにくい) | 少ない | iPhoneがスリープしても接続が切れにくい。メールチェックなど通信速度を求めない作業向き。 |
USB接続 | 最速 | ◎ (有線で安定) | 少ない (充電も可能) | 物理的に接続するため最も安定し高速。大容量ファイルの送受信やオンライン会議など、重要な作業向き。 |
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Wi-Fiテザリング
最も一般的で手軽な方法ですが、前述の通りスリープによる自動切断や電波干渉の影響を受けやすいという側面があります。手軽さを優先したい場合や、複数台のデバイスを同時に接続したい場合に適しています。
Bluetoothテザリング
通信速度はWi-Fiに比べて大幅に劣りますが、最大のメリットは接続の安定性と省電力性です。iPhoneがスリープ状態になっても接続が切れにくいため、テキストメッセージのやり取りや、バックグラウンドで常時接続が必要な軽い作業に向いています。速度よりも接続の維持を優先したい場合の選択肢となります。
USBテザリング
iPhoneとパソコンをLightningケーブルで直接接続する方法です。有線接続のため、電波干渉などの影響を一切受けず、最も高速で安定した通信が可能です。さらに、パソコンからiPhoneへ給電されるため、バッテリーの心配もありません。セキュリティ面でも最も安全なため、外出先での重要なオンライン会議や、大容量データのダウンロードなど、絶対に失敗できない場面で最適です。
常時接続を維持する裏ワザ
「自動ロック」をオフにする方法以外で、テザリングの常時接続を維持するための少し応用的なテクニックがあります。これは、接続しているデバイス側からiPhoneに対して、定期的にごく少量のデータ通信を意図的に発生させ続けるという考え方に基づいています。
この方法の要点は、iPhoneに「現在もテザリングがアクティブに使われている」と認識させ、スリープによる自動切断のトリガーを引かせないようにすることです。
具体的な方法としては、パソコンやタブレット側で、音楽のストリーミングサービスやインターネットラジオのアプリを起動し、再生状態にするというものがあります。もちろん、作業中に音楽が流れていては集中できないため、デバイスの音量はミュート(消音)にしておきます。
この状態であれば、たとえユーザーが他の作業に集中していても、バックグラウンドではアプリが定期的にサーバーと通信を行い続けるため、iPhoneとのテザリングセッションが維持されます。ウェブページを長時間閲覧したり、文章をじっくり考えたりする際に特に有効です。
ただし、この方法にも注意点があります。常にデータ通信が発生するため、契約しているデータプランの通信量を想定よりも早く消費してしまう可能性があります。特に動画のストリーミングはデータ消費が大きいため避け、音楽やラジオなど、比較的データ量の少ないサービスを選ぶのが賢明です。
ショートカットで再接続を効率化
テザリングの接続が切れてしまった際に、毎回「設定」アプリを開いて操作するのは少し面倒です。iOSに標準で搭載されている「ショートカット」アプリを活用すれば、この再接続のプロセスを大幅に効率化できます。
ショートカットアプリは、複数の操作を一つのボタンにまとめて自動化できる非常に強力なツールです。これを利用して、「ワンタップでインターネット共有をオンにする」ショートカットを作成することが可能です。
ショートカットの作成例
- 「ショートカット」アプリを開き、右上の「+」をタップして新規ショートカットを作成します。
- 「アクションを追加」をタップします。
- 検索窓で「インターネット共有」と入力し、「インターネット共有を設定」を選択します。
- アクション内の「“Wi-Fi”を“オン”に変更」という部分を確認します(デフォルトでオンになっているはずです)。
- 右上の「完了」をタップして保存します。
作成したショートカットをホーム画面に追加しておけば、アイコンをタップするだけで即座にインターネット共有をオンにできます。これは、接続が切れた後のリカバリーを素早く行うだけでなく、テザリングを使いたいと思った時にすぐに開始できるため、日常的な利便性が大きく向上します。さらに複雑なショートカットを組めば、「特定の場所に着いたら自動でテザリングをオンにする」といった自動化も可能です。
特定アプリの活用で接続を維持
前述の「常時接続を維持する裏ワザ」で触れたように、特定の種類のアプリを活用することで、テザリングの接続が自動でオフになるのを防ぐことができます。これは、テザリング接続維持を主目的とした専用アプリが存在するわけではなく、定期的に通信を行う性質を持つアプリを応用するという考え方です。
最も一般的に利用されるのは、音楽やラジオのストリーミングアプリです。例えば、Apple MusicやSpotify、Radikoといったサービスが挙げられます。これらのアプリは、コンテンツを再生中に継続してサーバーからデータを受信するため、テザリングの通信が途切れることがありません。
活用の手順
- テザリングで接続しているパソコンやタブレットで、任意の音楽ストリーミングアプリなどを起動します。
- 何かしらの楽曲やラジオ局を再生状態にします。
- デバイスのシステム音量をミュート(消音)にします。
こうすることで、作業の邪魔になることなく、バックグラウンドで通信を維持できます。通信が途絶えないため、iPhoneはテザリングが使用中であると判断し続け、スリープによる自動切断を行わなくなります。
この方法は非常に効果的ですが、データ通信量を消費し続けるという点を忘れてはいけません。契約プランが無制限でない場合は、データ残量に注意しながら活用することが大切です。また、アプリによってはオフライン再生機能がありますが、この方法ではストリーミング再生(オンラインでの再生)を行う必要があります。
iphone インターネット共有が切れる問題の総まとめ

この記事で解説した、iPhoneのインターネット共有が切れる問題に関する原因と対策の要点を以下にまとめます。
- インターネット共有が切れる主な原因はiPhoneの省電力仕様と通信環境
- Wi-Fiテザリングは省電力のためスリープ後約90秒で自動オフになる
- すぐ切れるのは故障ではなくiPhoneの意図された仕様であることが多い
- 電波が弱い場所や電波干渉がある環境では接続が不安定になる
- 基本的な対策としてiPhoneと接続機器の再起動が有効
- iOSとキャリア設定を常に最新の状態に保つことが安定につながる
- 解決しない場合はネットワーク設定のリセットを試す価値がある
- 自動切断の直接的な対策は「自動ロック」を「なし」に設定すること
- 自動ロックなし設定はバッテリー消費と画面焼き付きのリスクがある
- テザリングにはWi-Fi、Bluetooth、USBの3種類があり使い分けが鍵
- 安定性重視ならBluetooth、速度と安定性ならUSB接続が最適
- USB接続はiPhoneを充電しながら利用できるメリットもある
- 音楽アプリなどをミュート再生し常時接続を維持する裏ワザも有効
- 「ショートカット」アプリでテザリングのオン/オフを効率化できる
- 自身の利用状況に合わせて最適な対策を組み合わせることが大切