スプレッドシートの画像トリミング方法とExcelの違い

スプレッドシートで資料を作成している時、「挿入した画像のこの部分だけ切り取りたい…」と思うこと、ありますよね。私もよくあります。特にExcel(エクセル)での作業に慣れていると、スプレッドシートで「トリミング」ボタンが見当たらず、「あれ、できない?」と戸惑うことが多いんです。

実際、GoogleスプレッドシートにはExcelのような直接的なトリミング機能が標準で搭載されていません。だからといって諦めるのはまだ早いです。スプレッドシートには「図形描画」という機能を使った回避策がありますし、画像を円形に切り抜く「マスク処理」も可能です。また、Googleドキュメントの機能を利用する裏ワザや、アドオンを使う方法もあります。

この記事では、スプレッドシートで画像をトリミングしたいという悩みを持つ方へ、PCでの操作はもちろん、スマホやiPadでの対応方法、さらには画像がずれる問題の対策やセル内に画像を入れるIMAGE関数についても、私の経験を踏まえながら分かりやすく解説していきますね。

  • Googleスプレッドシートでトリミングする3つの回避策
  • Excelで画像をトリミングする簡単・強力な標準機能
  • 画像を円形(丸型)に切り抜く具体的な手順
  • 画像がずれるのを防ぎ、セル内に固定する方法
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スプレッドシートの画像トリミングとExcelの違い

スプレッドシート

まず押さえておきたいのは、GoogleスプレッドシートとMicrosoft Excelでは、画像の扱いに大きな違いがある、という点です。特に「トリミング」に関しては、できることや操作感が根本的に異なります。この違いを知らないと、「なんでスプレッドシートではできないんだ!」と混乱してしまうかもしれません。

スプレッドシートでトリミングができない理由

結論から言うと、Googleスプレッドシートのシート上には、Excelにあるような「画像を直接トリミングする機能」が標準搭載されていません。

これが、多くの人が「スプレッドシート 画像 トリミング できない」と検索する最大の理由ですね。

Excelの場合、画像を選択すると「図の形式」タブに「トリミング」ボタンがすぐ表示され、直感的に操作できます。しかし、スプレッドシートで画像をクリックしても、そのようなボタンはどこにも見当たりません。

スプレッドシートは元々、複雑な画像編集よりも「表計算」と「データ共有」に重点を置いたツールです。そのため、画像編集機能はExcelに比べて簡素化されている、と考えるのが良さそうです。

では、スプレッドシートでは一切トリミングができないのかというと、そんなことはありません。あくまで「直接的な機能がない」だけで、いくつかの「回避策」を使えば、トリミングしたのと同じ結果を得ることが可能です。次からその具体的な方法を見ていきましょう。

図形描画でマスクするトリミング方法

スプレッドシート内で作業を完結させたい場合に、最も標準的で便利な回避策が「図形描画」機能を利用する方法です。

これは厳密には画像を「切り取る(トリミング)」のではなく、画像の上に好きな形の「お面(マスク)」を被せて、見せたい部分だけを表示させる「マスク処理」というテクニックです。でも、結果的にはトリミングと同じことができますよ。

手順は以下の通りです。

  1. スプレッドシートのメニューから[挿入]→[図形描画]→[新規]と進みます。
  2. ポップアップで「図形描画」エディタが開きます。
  3. ツールバーの[画像]アイコンをクリックし、トリミングしたい画像をアップロードするか、Google Driveから選択します。
  4. 画像がエディタ内に配置されたら、その画像をクリックして選択状態にします。
  5. すると、ツールバーに[画像をマスク]アイコン(トリミングアイコンに似たマーク)が表示されるので、それをクリックします。
  6. 黒いトリミングハンドル(枠線)が表示されるので、これを内側にドラッグして、表示させたい範囲を指定します。
  7. 範囲が決まったら、右上の[保存して閉じる]ボタンをクリックします。

これで、トリミング(マスク処理)された画像が「図形描画オブジェクト」としてシート上に挿入されます。このオブジェクトはシート上で自由に移動やリサイズが可能です。

この方法で挿入した画像は、シートに「浮いている」状態です。セルの値(インセル画像)ではない点に注意してくださいね。

図形描画で円や丸型に切り抜くには

先ほどの「図形描画」機能の応用編です。「四角形」だけでなく、画像を「円形(丸型)」や星形、矢印といった好きな形に切り抜きたい(マスクしたい)場合も、この機能で対応できます。

  1. 上記「図形描画でマスクするトリミング方法」の手順1〜4(画像を図形描画エディタに配置)まで進めます。
  2. 画像を選択した状態で、[画像をマスク]アイコンの右側にある小さな下向き矢印(▼)をクリックします。
  3. [図形]というサブメニューが表示され、たくさんの図形が出てきます。
  4. ここで[図形]→[楕円](円のことです)を選択します。
  5. すると、画像が瞬時に楕円形でマスクされます。
  6. [保存して閉じる]をクリックすれば、シートに円形(または楕円形)の画像が挿入されます。

画像を「真円(正円)」にするコツ

元の画像の縦横比によっては、[楕円]を選んだだけだとキレイな「真円」にならず、横長や縦長の楕円になってしまうことがあります。

その場合は、図形描画エディタ内で画像の黒いトリミングハンドルを操作し、表示させたい範囲をあらかじめ「正方形」に近づけておくのがコツです。正方形に近い領域を円形でマスクすれば、より「真円」に近い形で切り抜くことができますよ。

アドオンを使ったトリミングの手順

「図形描画」は少し面倒…と感じる方や、もっと高度な編集がしたい方向けに、アドオン(拡張機能)を利用する方法もあります。ただし、これは少し上級者向けで、手順も複雑になることが多いです。

注意点:「Crop Sheet」系のアドオンは別物!

Google Workspace Marketplaceで「Crop(トリミング)」と検索すると、「Crop Sheet」や「Quick Crop」といったアドオンが見つかりますが、これらは画像をトリミングする機能ではありません。シートの「不要な行や列」をトリミング(非表示に)するアドオンなので、間違えないように注意してくださいね。

スプレッドシートの画像を直接編集するアドオンは稀で、多くの場合、「Google Drive」に対応した画像編集アドオンを間接的に利用するワークフローになります。

例えば、「Photo Editor by Overbits」のようなGoogle Drive対応アドオンを使う場合、以下のような流れになります。

  1. トリミングしたい画像を、まずGoogle Driveにアップロードします。
  2. Google Drive上でその画像を右クリックし、[アプリで開く]からインストールしたアドオン(例: Photo Editor)を選択します。
  3. アドオンの編集画面(別のタブで開く)で「Crop Image」などの機能を使って画像をトリミングし、上書き保存(または新規保存)します。
  4. スプレッドシートに戻り、[挿入]→[図形描画]→[新規]を開きます。
  5. 図形描画エディタ内で[画像]アイコンをクリックし、[Google Drive]から先ほど編集した「トリミング済みの画像」を選択します。
  6. [保存して閉じる]をクリックして、シートに配置します。

見ての通り、かなり手順が複雑ですよね。手軽さでいえば、やはり標準の「図形描画」機能か、次にご紹介する「他のGoogleアプリ利用」がおすすめです。

スマホやiPadでのトリミング操作

「外出先でスマホやiPadからスプレッドシートを編集したい」というニーズも多いと思います。ですが、残念ながらスマホ版のGoogleスプレッドシートアプリ単体では、PCの「図形描画」機能に相当する画像トリミング(マスク処理)機能が提供されていないようです。

では、スマホではどうするか?

ここでも「回避策」の登場です。おすすめは、「Googleスライド」アプリを利用する方法です。

スマホ・iPadでのトリミング手順(スライドアプリ利用)

  1. 「Googleスライド」アプリ(持っていなければインストール)を開き、新規スライドを作成します。
  2. [+]ボタンから[画像]を選択し、トリミングしたい画像を挿入します。
  3. 挿入した画像を選択(タップ)すると、下部(または上部)のツールバーに[トリミング]アイコンが表示されます。
  4. このアイコンをタップすると、画像の端に黒いハンドルが表示されるので、ドラッグしてトリミング範囲を指定します。
  5. (円形にしたい場合)[トリミング]アイコンの隣にある[マスク]アイコン(図形のマーク)をタップし、好きな形状(例: 楕円)を選びます。
  6. 編集が完了したら、トリミング済みの画像をタップし、[コピー]を選択します。
  7. 「Googleスプレッドシート」アプリに切り替え、貼り付けたいセルを長押しして[貼り付け]を実行します。

少し手間はかかりますが、この方法ならスマホやiPadでもPCと同じようにトリミングやマスク処理が可能です。「Googleドキュメント」アプリでも同様の機能が使えますので、使いやすい方で試してみてください。

Excelでのスプレッドシート画像トリミング方法

一方、Microsoft Excel(エクセル)での画像トリミングは、スプレッドシートと比べて驚くほど簡単です。Excelの操作感に慣れていると、スプレッドシートの回避策がもどかしく感じてしまうかもしれませんね。ここではExcelでの基本的なトリミング方法を再確認しておきましょう。

Excelで画像をトリミングする標準手順

Excelでは、画像を挿入してクリックするだけで、専用の編集メニューが使えるようになります。

  1. [挿入]タブから画像をシートに配置します。
  2. トリミングしたい画像をクリックして選択します。
  3. リボン(メニューバー)に[図の形式]タブが表示されるので、それをクリックします。
  4. 右側にある[トリミング]ボタンをクリックします。
  5. 画像の端と角に、黒い太線(トリミングハンドル)が表示されます。
  6. この黒いハンドルをマウスで内側にドラッグすると、その分だけ画像が切り抜かれます。(切り抜かれる部分は半透明で表示されます)
  7. 範囲が決まったら、Escキーを押すか、画像の外側をクリックすればトリミングが確定します。

スプレッドシートの「図形描画」を経由する方法と比べると、圧倒的に直感的でスピーディーですね。

Excelで画像を円形に切り抜く応用テク

Excelが強力なのは、このトリミング機能を「図形」と組み合わせられる点です。スプレッドシートの「マスク処理」と似ていますが、操作はもっと簡単です。

  1. 画像を選択し、[図の形式]タブを開きます。
  2. [トリミング]ボタンの下向き矢印(▼)をクリックします。
  3. メニューから[図形に合わせてトリミング]を選択します。
  4. 表示される図形一覧から[円/楕円]を選びます。
  5. これだけで、画像が円形(または楕円形)に切り抜かれます。

画像を「真円(正円)」にする重要テクニック

スプレッドシート同様、元の画像が長方形だと、ただ図形を適用しただけでは「楕円」になってしまいます。Excelで完璧な「真円」にしたい場合は、追加のステップが必要です。

手順:

  1. まず[図形に合わせてトリミング]→[円/楕円]を実行します。(この時点で楕円でもOK)
  2. そのままの状態で、再度[トリミング]ボタンの▼をクリックします。
  3. メニューから[縦横比]を選択します。
  4. サブメニューから[1:1](正方形)を選びます。

この操作により、トリミング領域が強制的に1:1の比率に補正され、結果として切り抜かれる形が「真円」になります。これは顔写真などをキレイに丸く切り抜きたい時に必須のテクニックですよ。

画像をセル内に貼り付ける(IMAGE関数)

ここまでは、画像をシートの上に「浮かす(フローティング)」配置方法が前提でした。ですが、トリミングとは別に、「画像をセルの枠内にきっちり収めたい」というニーズもありますよね。

Googleスプレッドシートでは、IMAGE(イメージ)関数を使うことで、画像をセルの「値」としてセル内部に埋め込むことができます。

=IMAGE("画像のURL")

上記のように、画像のURLを指定してセルに入力すると、その画像がセル内に自動リサイズされて表示されます。セルのサイズを変更すれば、画像も追従して伸縮します。

Google Drive内の画像を使いたい場合は、まずその画像の共有設定を「リンクを知っている全員」に変更し、特定のURL形式(.../uc?export=download&id=固有ID)に変換して指定する必要があります。ちょっと手間がかかりますね。

一方、Excelにも最近(Microsoft 365など)「セルに配置」機能が追加されました。画像を右クリックして[セルに配置]を選ぶか、セルを右クリックして[セルに画像を貼り付ける]を選択するだけで、簡単にインセル画像を作成できます。

スプレッドシートで画像がずれる対策

スプレッドシートで「図形描画」や[挿入]→[画像]→[セル上の画像]で配置したフローティング画像は、行の挿入・削除や、共同編集のタイミングなどで、意図せず位置がずれてしまうことがよくあります。これは本当に悩ましい問題です。

この「画像がずれる」問題の最も確実な対策は、やはりIMAGE関数を使うことです。

IMAGE関数でセル内に埋め込んでしまえば、画像は「セルの値」として扱われるため、行の挿入や削除にも完全に連動し、レイアウトが崩れることはありません。

もし、どうしてもフローティング画像(セル上の画像)を使う必要があり、ズレを最小限にしたい場合は、以下の方法を試してみてください。

  • Excelの場合: 画像を右クリック → [サイズとプロパティ](または[図の書式設定])を開き、[プロパティ]タブで「セルに合わせて移動やサイズを変更する」を選択します。これで、行の非表示やセルのサイズ変更に画像が連動するようになります。
  • スプレッドシートの場合: 上記Excelのような詳細な連動設定はありません。誤操作を防ぐために、[データ]→[シートと範囲を保護]で、画像が配置されている範囲の編集を制限するくらいしか、現状では根本的な対策がないかもしれません…。

Googleドキュメント利用のトリミング

これは、先ほど「スマホ」のセクションでも触れた方法のPC版です。

Googleスプレッドシートには直接のトリミング機能がありませんが、兄弟アプリであるGoogleドキュメントGoogleスライドには、なぜかExcelとほぼ同等の強力なトリミング機能が標準搭載されています。

PCでの「ドキュメント」利用手順

  1. Googleドキュメント(またはスライド)を新規で開きます。
  2. [挿入]→[画像]で、トリミングしたい画像を挿入します。
  3. 画像を選択するとツールバーに[画像をトリミング]アイコンが表示されます(または画像をダブルクリック)。
  4. 黒いハンドルをドラッグして、自由にトリミングします。
  5. トリミングが完了したら、その画像をコピー(Ctrl+C)します。
  6. 作業中のGoogleスプレッドシートに戻り、貼り付け(Ctrl+V)します。

これだけで、トリミング済みの画像がスプレッドシート上に配置されます。「図形描画」を開くより手軽だと感じる方も多いかもしれませんね。

スプレッドシートの画像トリミングまとめ

最後に、Googleスプレッドシートの画像トリミングについて、要点をまとめておきます。

スプレッドシートで画像をトリミングしたい場合、Excelとは異なり「直接的な機能」はありません。そのため、以下の3つの回避策のいずれかを選ぶことになります。

方法 特徴 メリット デメリット
1. 図形描画(マスク) 標準機能。シート内で完結。 ・アドオン不要

・円形など図形も可

・少し手順が面倒

・厳密には「マスク」

2. 他のアプリ利用 Googleドキュメントやスライドで編集し、コピペする。 ・操作が直感的

・スマホでも応用可

・別アプリを開く手間
3. アドオン利用 Google Drive対応の画像編集アドオンを使う。 ・高度な編集も可能 ・手順が非常に複雑

・上級者向け

個人的には、手軽さと機能のバランスが良い「2. 他のアプリ(ドキュメント/スライド)利用」か、シート内で完結する「1. 図形描画」のどちらかをおすすめします。

Excelの快適な操作感を知っていると、スプレッドシートの画像操作は少しもどかしく感じるかもしれませんが、これらの回避策を知っていれば、大抵のトリミング作業はこなせるはずです。ぜひ試してみてくださいね。

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