エクセルでの見え消し線を引く基本操作

まずは、エクセルで見え消し線(取り消し線とも呼ばれますね!)を引くための最も基本的な操作からおさらいしていきましょう。知っているようで意外と知らない便利なショートカットや、特定の文字だけを消す方法、さらにはちょっとした裏技まで、毎日の作業が少しでも楽になるような実用的なテクニックをまとめました。
ショートカットで素早く引く方法
エクセルで文字に見え消し線を引きたいとき、皆さんはどうしていますか?わざわざ上のメニューからアイコンを探してクリックしていませんか?実は、もっと圧倒的に早い方法があるんです。それが、キーボードショートカットを使う方法ですね。
Windowsをお使いの場合、消したいセルを選んだ状態で「Ctrl」キーと数字の「5」を同時に押すだけです。これだけで、パッと見え消し線が引かれます。もう一度同じショートカットを押せば、サクッと解除されるので、トグルスイッチのように使えて非常に便利ですよ。
注意:ここで使う数字の「5」は、キーボードの上の方にある数字キーのことです。右側にあるテンキーの「5」を押しても反応しないので気をつけてくださいね!
ちなみに、Macユーザーの方は「Command + Shift + X」が同じ役割を果たしてくれます。データ整理やタスクの消し込みなど、何度も線を引く作業があるときは、このショートカットを覚えておくだけで、作業効率が全く変わってきますので、ぜひ試してみてください。
セル内の一部だけを消す手順
「セル全体の文字ではなく、文章の中の特定の言葉だけに見え消し線を引きたい」という場面もよくありますよね。例えば、「修正前 修正後」のように、前の状態を残しつつ一部だけを訂正したいケースです。
そんな時は、まず対象のセルをダブルクリックするか、「F2」キーを押して、セルの「編集モード」に入ります。文字が直接打ち込める状態になったら、線を引っぱりたい文字だけをマウスでスーッとドラッグして選択します。(キーボード派の方は、Shiftキー+矢印キーでも選択できますよ)
その選んだ状態のままで、先ほど紹介したショートカット「Ctrl + 5」を押すか、右クリックして「セルの書式設定」→「フォント」タブから「取り消し線」にチェックを入れます。これで、選んだ部分だけにキレイに見え消し線を引くことができます。契約書のチェックや、マニュアルの改定作業などでとても重宝するテクニックです。
二重線を引きたい場合の代替手段
公的な文書や社内の厳しい規定がある場合、「修正の際は必ず二重線(二重取り消し線)を使うこと」と指定されることがありますよね。Wordなら簡単に二重線が引けるのですが、実はエクセルの文字飾り機能には、一本線しか用意されていません。これ、結構困りますよね。
エクセルで二重線を引きたい場合、少し力技になりますが「図形(オートシェイプ)」の直線を使って代用するのが一番現実的な方法です。
やり方は以下の通りです。
- 「挿入」タブの「図形」から「線(直線)」を選びます。
- 対象の文字の上で、Shiftキーを押しながらドラッグして、まっすぐな直線を引きます。(Shiftを押すと線が斜めになりません!)
- 引いた線を選んで「Ctrl + 1」を押し、「図形の書式設定」を開きます。
- 線の設定にある「一重線/多重線」のメニューから「二重線」を選びます。
ここでひとつコツがあります。デフォルトの線の細さだと、二重線であることがほとんど分かりません。なので、線の「幅(太さ)」を3pt〜4ptくらいまで思い切って太く調整してみてください。これで、立派な二重見え消し線の完成です。
取り消し線の色だけを赤くする技
「文字は黒のまま残して、その上に引く見え消し線だけを赤色にして目立たせたい!」という要望もよく聞きます。しかし残念ながら、エクセルの基本機能では、取り消し線の色は文字の色と完全に連動してしまう仕様になっています。文字が黒なら線も黒、文字を赤にすれば線も赤になってしまうんですね。
この問題を解決するには、先ほどの「二重線」のときと同じように、図形の「直線」を赤色にして、文字の上に重ねるというアプローチになります。
挿入した直線の色を「赤」に変更し、文字の真ん中に来るように微調整して配置します。少し手間はかかりますが、「どこが消されたのか」をパッと見で強調したい場合には、この方法が最も確実です。もし、「文字も線も全部赤でいいよ」ということであれば、シンプルにセルのフォント色を赤にしてから見え消し線を引けばOKです。
ちょっとした豆知識:漢字の「一」やカタカナの「ー(長音符)」など、横棒がある文字に見え消し線を引くと、線が重なって何が書いてあるのか分からなくなることがあります。そういった場合も、図形で赤い線を引くと視認性がグッと上がりますよ。
条件付き書式で自動化するコツ
タスク管理表などで、ステータスを「完了」にした瞬間に、自動でその行のタスク名に見え消し線がスーッと引かれたら気持ちいいですよね。毎回手作業で線を引くのは面倒ですし、引き忘れの原因にもなります。
これはエクセルの「条件付き書式」という機能を使うことで簡単に自動化できます。
例えば、C列に「ステータス(完了・進行中など)」を入力するとします。
- 見え消し線を反映させたい表全体を選択します。
- 「ホーム」タブの「条件付き書式」から「新しいルール」を選びます。
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選びます。
- 数式欄に
=$C3="完了"のように入力します。(※Cの前の「$」が重要です。これで行全体に色が付きます) - 「書式」ボタンを押し、「フォント」タブで「取り消し線」にチェックを入れてOKを押します。
これで設定は完了です。C列に「完了」と入力した瞬間に、該当する行の文字に自動で見え消し線が入るようになります。毎日のタスク管理が少し楽しくなるので、ぜひ設定してみてくださいね。
エクセルの見え消し線のトラブル対策

エクセルを使っていると、「何もしていないのに勝手に線が入った!」「線を消したいのに消えない!」といった、ちょっと焦ってしまうトラブルに遭遇することがありますよね。ここでは、見え消し線にまつわる代表的なトラブルの原因と、そのスッキリとした解決方法を解説していきます。
勝手に線が入る原因と解決策
「あれ?数式の入ったセルに、勝手に変な横線が入ってる…」という経験はありませんか?実はこれ、2024年秋頃からMicrosoft 365版のエクセルに導入された「古い値の書式設定(Stale Value Formatting)」という新機能が原因であるケースが非常に多いんです。
エクセルの計算方法を「手動」にしている場合、元データが変わっても数式の結果は自動で更新されませんよね。この時、エクセルが「この数字は古い情報ですよ!計算し直してください!」と教えてくれるために、親切心から勝手に見え消し線を引いて警告してくれる機能なんです。(黄色いビックリマークのアイコンも一緒に出ることが多いです)
一番簡単な解決策:機能をオフにする
- 上のメニューの「数式」タブを開きます。
- 「計算方法の設定」をクリックします。
- メニューの中にある「古い値の書式設定」のチェックを外します。
これだけで、あの鬱陶しい警告線は綺麗さっぱり消えてくれます。手動計算をよく使う方は、この設定を覚えておくとイライラが激減すると思いますよ。
古い値の警告で線が消えない場合
先ほど説明した「古い値の書式設定」ですが、「F9キーを押して再計算すれば一時的に消える」というのが本来の動きです。しかし、「何度F9キーを押して再計算させても、絶対に線が消えないセルがある!」という厄介なパターンが存在します。
この原因のほとんどは、その数式が「循環参照」を起こしているためです。循環参照とは、数式が自分自身のセルを計算に組み込んでしまっている状態のこと。複雑な表計算をしていると、うっかりやってしまうことがありますよね。
エクセルのシステム上、循環参照になっているセルはどれだけ再計算しても永遠に「古い値」と判定されてしまうため、警告の見え消し線が消えることはありません。
もし、意図せず循環参照になってしまっている場合は、数式を正しく直す必要があります。(エラーチェック機能で循環参照を探せます)。一方で、高度な財務モデリングなどで「あえて循環参照を使っている」という場合は、やはり前項で紹介した「古い値の書式設定」機能自体をオフにするしか、線を消す方法はありません。
マクロとVBAで処理を効率化
「見え消し線が引かれたデータ(完了済みタスクなど)だけを無視して、残りの数字だけを合計したい」と思ったことはありませんか?実は、エクセルの標準のSUM関数などでは、「セルの色」や「見え消し線の有無」といった”見た目”を条件にして計算することはできないんです。
どうしてもそういった複雑な処理を行いたい場合は、少しハードルが上がりますが「VBA(マクロ)」を使う必要があります。
VBAを使えば、「選択した範囲の中から、取り消し線がないセルだけの数字を足し算する」といったオリジナルの関数(ユーザー定義関数)を自作することができます。
VBAのコードでは Font.Strikethrough = False (取り消し線が引かれていない状態)かどうかを判定して処理を分岐させるイメージです。本格的なデータ集計や、数万行もあるデータのお掃除などを一瞬で行いたい場合は、VBAの導入を検討してみる価値は十分にあります。
印刷時に線が途切れる問題の対応
画面上では綺麗に見え消し線が引けているのに、いざ紙に印刷してみると「線が途切れている」「そもそも線が印刷されていない」といった現象が起こることがあります。せっかく丁寧に資料を作ったのに、これでは台無しですよね。
これはエクセルのデータが壊れているわけではなく、パソコンとプリンターの間でデータをやり取りする際の「解像度の解釈」や、「印刷の縮小設定」などが悪さをしているケースがほとんどです。
印刷トラブルの対処法
- ページ設定で「簡易印刷」にチェックが入っていないか確認する。
- プリンターのドライバーを最新のものにアップデートしてみる。
- エクセルから一度PDFとして保存(エクスポート)し、そのPDFを印刷する。
特に一番下の「PDFにしてから印刷する」という方法は、レイアウト崩れや線のカスレを防ぐ上で非常に強力な裏ワザです。印刷関係でトラブルが起きたら、まずは一度PDF化を試してみてくださいね。
エクセルの見え消し線の完全まとめ
今回は、エクセルの見え消し線(取り消し線)にまつわる基本操作から、ちょっとマニアックなトラブルシューティングまで幅広く解説してきました。
単なる文字の装飾と思われがちですが、ショートカット「Ctrl + 5」を使いこなしたり、条件付き書式で自動化したりすることで、日々の業務効率は格段にアップします。また、「古い値の書式設定」のような新しい仕様変更によるトラブルも、原因を知っていればサクッと解決できますよね。
見え消し線は、チーム内で「どこが変更されたのか」「どのタスクが終わったのか」を視覚的に伝えるための大切なコミュニケーションツールでもあります。ぜひ今回の内容を参考にして、より快適でスムーズなエクセルライフを送ってくださいね!
