Outlookの動作が遅い、メールがうまく受信できないといった不具合に悩んでいませんか。このような問題は、Outlook内に蓄積されたキャッシュが原因かもしれません。この記事では、Outlookのキャッシュを削除する具体的なやり方を分かりやすく解説します。
キャッシュをクリアするとデータがどうなるのか、そのメリットやデメリット、PCの容量に与える影響についても触れていきます。また、Microsoft 365版での注意点や、予定表の同期問題を解決するための設定、さらにはコマンドを用いた効率的な削除方法まで、網羅的にご紹介します。失敗や後悔をしないためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。
- キャッシュ削除によるメリットとデメリット
- 3種類のキャッシュを安全に削除する手順
- コマンドを使った効率的なキャッシュクリア方法
- 削除後にシステムを安定させるための推奨事項
outlook キャッシュ 削除前に知るべきこと

- キャッシュを削除するとデータはどうなる?
- キャッシュクリアで得られるメリット
- 知っておきたいデメリットと注意点
- キャッシュがPCの容量を圧迫する?
- 予定表の同期問題も解決する可能性
キャッシュを削除するとデータはどうなる?
Outlookのキャッシュを削除すると、メール本体や連絡先などの元データが消えてしまうのではないかと心配になるかもしれません。しかし、キャッシュはあくまで一時的に保存されたデータのコピーであるため、削除してもサーバー上に保管されている元のデータが失われることはありません。
なぜなら、キャッシュはOutlookの表示を速くしたり、オフラインでも過去のメールを確認したりするために、パソコン内に一時的に情報を保存しておく仕組みだからです。例えば、メールデータ本体を保存しているオフラインキャッシュ(OSTファイル)を削除した場合、次回Outlookを起動した際に、メールサーバーからデータが自動的に再同期され、新しいキャッシュファイルが生成されます。
このように、キャッシュを削除しても基本的なデータは保護されるため、安心して作業を進めることが可能です。ただし、あくまでサーバーと同期しているデータに限られるため、注意点は存在します。
キャッシュクリアで得られるメリット
キャッシュのクリアは、Outlookのパフォーマンスを改善する上で多くのメリットをもたらします。最大の利点は、アプリケーションの動作が軽快になることです。キャッシュが破損したり、肥大化したりすると、Outlook全体の動作が遅くなる主な原因となります。これを削除することで、起動時間の短縮や画面切り替えの高速化が期待できます。
また、メールの送受信やカレンダーの同期に関する不具合が解消されることも少なくありません。最新の情報が正しく表示されない、添付ファイルが開けないといった問題は、古いキャッシュデータが原因で発生している場合があるためです。
さらに、不要な一時ファイルが削除されることで、パソコンのハードディスクの空き容量を確保できるという副次的な効果もあります。これらの理由から、Outlookの動作に違和感を覚えた際には、キャッシュのクリアが有効な解決策の一つと考えられます。
知っておきたいデメリットと注意点
多くのメリットがある一方で、キャッシュ削除にはいくつかのデメリットや注意すべき点が存在します。まず、キャッシュを削除した直後は、一時的にOutlookの動作が遅く感じられることがあります。これは、削除されたキャッシュをサーバーから再度ダウンロードし、再構築する必要があるためです。特にメールのデータ量が多い場合は、再同期に時間がかかることを念頭に置く必要があります。
次に、オートコンプリート機能で表示されていたメールアドレスの候補が一度リセットされる点も挙げられます。頻繁にやり取りする相手のアドレスが候補に出てこなくなるため、最初は不便に感じるかもしれません。もっとも、この機能は使用するうちに再び学習されていきます。
最も注意すべきは、オフラインキャッシュ(OSTファイル)の扱いです。通常、サーバーと同期されているため問題ありませんが、万が一サーバー側にないローカルデータ(例えば、「このコンピュータのみ」と表示されているフォルダ内のアイテム)があった場合、失われるリスクがあります。作業前には重要なデータのバックアップを検討することが大切です。
キャッシュがPCの容量を圧迫する?
Outlookを長期間使用していると、キャッシュは少しずつ蓄積され、気づかないうちにパソコンのディスク容量を圧迫していることがあります。特に、サイズの大きな添付ファイル付きのメールを頻繁にやり取りする場合、キャッシュの容量は数ギガバイト(GB)に達することも珍しくありません。
キャッシュには、主に3つの種類があります。
キャッシュの種類 | 主な役割 | 容量への影響 |
ローミングキャッシュ | 宛先のオートコンプリート情報などを保存 | 比較的小さい |
添付ファイルキャッシュ | 一度開いた添付ファイルを高速表示 | ファイルの数やサイズによる |
オフラインキャッシュ(OST) | メールや予定表の本体データを保存 | 最も大きい |
この中で特に容量を占めるのが、メールデータ全体を保存するオフラインキャッシュ(OSTファイル)です。このファイルが肥大化することで、パソコン全体の動作が遅くなる原因にもなり得ます。
したがって、定期的にキャッシュの状態を確認し、不要なデータをクリアすることは、Outlookの快適な動作を維持するだけでなく、パソコンの空き容量を確保する上でも有効な手段と言えます。
予定表の同期問題も解決する可能性
Outlookの予定表で、他のデバイスとスケジュールが正しく同期されない、あるいは会議室の空き状況が正しく表示されないといった問題が発生することがあります。このような同期に関する不具合も、キャッシュが原因となっているケースが考えられます。
予定表のデータも、メールと同様にオフラインキャッシュ(OSTファイル)内に保存されています。このキャッシュファイルが何らかの理由で破損すると、サーバーとの正常なデータ交換が妨げられ、同期エラーを引き起こすのです。
他にも、宛先の候補などを保存しているローミングキャッシュが古い情報を保持し続けることで、会議出席依頼の際に問題が起きることもあります。
このような場合、関連するキャッシュを一度クリアすることで、Outlookはサーバーから最新の正しいデータを取得し直し、新しいキャッシュを構築します。これにより、これまで解決しなかった予定表の同期問題が改善される可能性が十分にあります。
outlook キャッシュ 削除の具体的な方法

- 3種類のキャッシュを削除するやり方
- 削除前に確認しておきたい設定
- コマンドを使った効率的な削除方法
- Microsoft 365版での削除手順
- まとめ:outlook キャッシュ 削除で不具合改善
3種類のキャッシュを削除するやり方
Outlookのキャッシュを完全にクリアするには、役割の異なる3種類のキャッシュをそれぞれ削除する必要があります。作業を行う前には、必ずOutlookを完全に終了させてください。
ローミングキャッシュ(RoamCache)の削除
このキャッシュは、メールアドレスのオートコンプリート機能や会議室一覧などの情報を保存しています。
- キーボードの「Windowsキー」 + 「Rキー」を同時に押し、「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開きます。
- 入力欄に「
%localappdata%\Microsoft\Outlook\RoamCache
」と入力し、「OK」をクリックします。 - 表示されたフォルダ内のファイルをすべて選択し、削除します。
添付ファイルキャッシュの削除
一度開いた添付ファイルを再度素早く開くために保存されるキャッシュです。
- 「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開きます。
- 入力欄に「
%userprofile%\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCache\Content.Outlook
」と入力し、「OK」をクリックします。 - 表示されたフォルダ内のファイルをすべて削除します。
オフラインキャッシュ(OSTファイル)の削除
メール、予定表、連絡先などのデータをパソコン内に保存しているファイルです。
- 「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開きます。
- 入力欄に「
%userprofile%\AppData\Local\Microsoft\Outlook
」と入力し、「OK」をクリックします。 - 表示されたフォルダ内から、拡張子が「.ost」となっているファイルを探して削除します。
このファイルを削除した後、Outlookを再起動すると、サーバーからデータが再同期され、新しいOSTファイルが自動的に作成されます。
削除前に確認しておきたい設定
キャッシュの削除作業を安全に行うために、事前にいくつかの設定を確認しておくことが望ましいです。特に、ファイルの拡張子が表示される設定になっているかを確認しましょう。
初期設定では、Windowsは「.ost」のような拡張子を非表示にしている場合があります。これでは、オフラインキャッシュファイルを見つけて削除することができません。
拡張子を表示する設定手順
- エクスプローラーを開き、上部メニューの「表示」タブをクリックします。
- リボンメニューの中から「ファイル名拡張子」という項目を探し、チェックボックスをオンにします。
また、Exchangeキャッシュモードが有効になっているかどうかも確認が必要です。この設定がオフの場合、OSTファイルは使用されません。
Exchangeキャッシュモードの確認手順
- Outlookを起動し、「ファイル」タブから「アカウント設定」を選択し、再度「アカウント設定」をクリックします。
- 「電子メール」タブで、該当するアカウントを選択し、「変更」をクリックします。
- 「Exchange キャッシュ モードを使用して、Outlook データ ファイルにメールをダウンロードする」にチェックが入っていることを確認します。
これらの設定を事前に確認しておくことで、手順に沿ってスムーズにキャッシュ削除作業を進めることができます。
コマンドを使った効率的な削除方法
エクスプローラーでフォルダを一つひとつ開いて削除するのが手間に感じる場合、コマンドプロンプトを利用すると、より効率的にキャッシュを削除できます。
コマンドプロンプトの起動方法
- Windowsの検索バーに「cmd」と入力します。
- 表示された「コマンドプロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選択します。
起動後、以下のコマンドをそれぞれコピーして貼り付け、Enterキーを押すことで各キャッシュを削除可能です。
ローミングキャッシュを削除するコマンド
del /f /q /s "%localappdata%\Microsoft\Outlook\RoamCache\*"
添付ファイルキャッシュを削除するコマンド
del /f /q /s "%userprofile%\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCache\Content.Outlook\*"
オフラインキャッシュ(OSTファイル)を削除するコマンド
del /f /q "%localappdata%\Microsoft\Outlook\*.ost"
これらのコマンドは、確認メッセージなしで強制的にファイルを削除するため、実行する際はパスの入力間違いなどがないよう注意が必要です。コマンドを正しく利用すれば、手作業よりも迅速にキャッシュのクリアが完了します。
Microsoft 365版での削除手順
現在主流となっているサブスクリプション版のMicrosoft 365に含まれるOutlookでも、キャッシュの削除方法は基本的にこれまで説明した手順と同じです。3種類のキャッシュ(ローミングキャッシュ、添付ファイルキャッシュ、オフラインキャッシュ)の保存場所や役割に大きな違いはありません。
したがって、Microsoft 365版のOutlookで動作の不具合が発生した場合も、同様の手順でキャッシュをクリアすることが有効な対処法となります。
ただし、クラウドサービスであるMicrosoft 365の特性上、サーバーとの同期がより重要になります。オフラインキャッシュ(OSTファイル)を削除した後の再同期には、ネットワーク環境によっては時間がかかる場合があります。作業は、安定したインターネット接続が確保できる環境で行うことをお勧めします。
また、法人で利用している場合、組織のITポリシーによっては特定のフォルダへのアクセスが制限されている可能性も考えられます。もし手順通りに進めてもうまくいかない場合は、組織のIT管理者に相談することも一つの方法です。
まとめ:outlook キャッシュ 削除で不具合改善

この記事では、Outlookの動作が重い、同期がうまくいかないといった問題の解決策として、キャッシュの削除方法を解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。
- Outlookのキャッシュは動作を高速化するための一時ファイル
- キャッシュを削除してもサーバー上の元データは消えない
- キャッシュクリアは動作の軽量化や不具合解消に繋がる
- 削除直後は再同期のため一時的に動作が遅くなることがある
- オートコンプリートの候補が一度リセットされる
- 重要なローカルデータがないか確認してから削除する
- キャッシュは主に3種類ありそれぞれ役割が異なる
- ローミングキャッシュは宛先の候補などを保存
- 添付ファイルキャッシュは添付ファイルの再表示を高速化
- オフラインキャッシュ(OSTファイル)が最も容量を占める
- 削除作業前にはOutlookを完全に終了させる
- 「ファイル名を指定して実行」から各フォルダへアクセスできる
- コマンドプロンプトを使えばより効率的に削除可能
- Microsoft 365版でも削除手順は基本的に同じ
- 削除後は安定した通信環境で再同期を行う