Outlookを使っていると気付かないうちにメールデータが肥大化してCドライブの容量を圧迫してしまうことがありますね。保存先を変更してDドライブなどの別の場所に移動させたいと考えるのは自然なことですが、いざ設定画面を開くと参照ボタンがグレーアウトしていて変更できないという壁にぶつかることが多いものです。特にOSTファイルやPSTファイルの扱いは複雑で、レジストリの操作が必要だったり新しいOutlookでは仕様が全く異なっていたりするため混乱しやすいポイントでもあります。この記事では添付ファイルの保存場所を含めたOutlookのデータ管理について、アーカイブの活用や容量不足の解消に役立つ具体的な手順を私自身の経験を交えて分かりやすく解説していきます。

- OSTやPSTといったデータファイルの違いと現在の保存場所を確認する方法
- レジストリやシンボリックリンクを使って強制的に保存先を変更する手順
- 新しいOutlookや添付ファイルの保存先に関する仕様と設定のポイント
- 共有サーバーへの保存リスクなどデータ管理における注意点とトラブル対策
Outlookのデータ保存先を変更する基本手順
まずは、現在Outlookがどこにデータを保存しているのかを正確に把握することから始めましょう。実は扱っているメールアカウントの種類によって、ファイル形式や移動の難易度が大きく異なります。「なぜ簡単には移動できないのか」という理由を知ることで、適切な対処法が見えてきますよ。
データファイルの場所を簡単に確認する方法
Outlookのデータファイルには、主にOSTファイルとPSTファイルの2種類が存在します。自分がどちらを使っているかを知ることは、保存先変更の第一歩です。確認方法はとても簡単で、Outlookの画面から数クリックでたどり着けます。
「ファイル」タブから「アカウント設定」を開き、「データファイル」タブを選択してください。そこに表示されているリストが、現在使用中のデータファイルです。該当するファイルを選択して「ファイルの場所を開く」をクリックすれば、エクスプローラーが起動して実際の保存フォルダが表示されます。
| ファイル形式 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| OST (.ost) | Microsoft 365, IMAP | サーバーのコピー(キャッシュ)。PCに紐付いており移動が難しい。 |
| PST (.pst) | POP3, アーカイブ | データの原本。単独ファイルとして移動やコピーが容易。 |
OSTとPSTの見分け方
拡張子が表示されていない場合、「種類」の欄を確認してください。「Outlook データ ファイル」となっていればPST、「オフライン Outlook データ ファイル」となっていればOSTです。
変更できない理由は参照ボタンのグレーアウト
「よし、場所はわかったから移動させよう」と思って設定画面を見ても、多くの方がここで躓きます。「ファイルの場所」を変更するための「参照」ボタンがグレーアウトして押せない状態になっていることが多いからです。
これは不具合ではなく、Outlook 2013以降の仕様です。特にOSTファイルは「サーバーにあるデータのキャッシュ(一時コピー)」という扱いになったため、Microsoftとしては「ユーザーが勝手に場所を動かす必要はない」という設計思想なんですね。しかし、SSDの普及でCドライブの容量が少ないPCも増えているため、この仕様が多くのユーザーを悩ませる原因になっています。
レジストリ操作でOSTファイルの場所を変える
グレーアウトしているOSTファイルの保存先を変更するには、Windowsのレジストリを編集して、Outlookに「新しい保存先はここだよ」と強制的に教える必要があります。これはMicrosoftも案内している方法ですが、手順を間違えるとシステムに影響が出る可能性があるため慎重に行いましょう。
具体的には、ForceOSTPathというレジストリ値を作成します。これを設定した後にプロファイルを新規作成すると、指定したフォルダ(例えばDドライブのOutlookDataフォルダなど)にOSTファイルが生成されるようになります。
注意点
レジストリ操作は、必ずバックアップを取ってから行ってください。また、この設定は「既存のファイル」を移動するのではなく、「今後作られるファイル」の場所を指定するものです。そのため、設定後にプロファイルの再作成(アカウントの再設定)が必要になります。
アカウント設定を使ってPSTファイルを移動
PSTファイルの場合は、OSTファイルに比べて移動が少し簡単です。レジストリを使わなくても、コントロールパネルの「Mail」機能を使ってリンクを張り替えるというアナログな手法が使えます。
- Outlookを完全に終了させます。
- エクスプローラーで、PSTファイルを新しい場所(Dドライブなど)へ物理的に「移動(切り取り&貼り付け)」します。
- コントロールパネルから「Mail(Microsoft Outlook)」を開き、「データファイル」を選択します。
- 移動前の古いパスが表示されているので、ダブルクリックします。
- 「ファイルが見つかりません」というエラーが出るので、そこで移動先の新しいファイルを指定してあげます。
この手順で、Outlookは新しい場所にあるPSTファイルを参照してくれるようになります。
アーカイブの保存先をDドライブへ移す手順
「古いアイテムの整理」機能などで作成されるアーカイブファイル(archive.pst)も、気づけば数GBのサイズになっていることがあります。これも基本的にはPSTファイルの一種なので、上記と同じ手順で移動が可能です。
また、これから新しくアーカイブを作成する場合の保存先を最初からDドライブなどに指定したい場合は、レジストリでForcePSTPathという値を設定しておくと便利です。これを設定しておけば、Outlookでデータファイルを新規作成する際、自動的に指定したフォルダが開くようになります。
容量不足対策にシンボリックリンクを活用
「プロファイルの再作成は面倒くさい」「もっと手っ取り早くCドライブを空けたい」という上級者の方には、Windowsの機能であるシンボリックリンク(mklink)を使う方法があります。
これは、Cドライブにあるはずのファイルを、あたかもそこにあるかのように見せかけつつ、実体はDドライブに置くという「どこでもドア」のような仕組みです。これを使えば、Outlook側の設定を一切変更することなく、実データだけを別ドライブに逃がすことができます。
コマンドプロンプトを使ってmklink "C:\元の場所\file.ost" "D:\新しい場所\file.ost"のように記述します。コマンド操作に慣れている方であれば、これが最も素早い解決策になるかもしれません。
シンボリックリンクのメリット
Outlook側はファイルが移動したことに気づかないため、再設定や再同期の手間がかかりません。今すぐ容量を確保したい場合に非常に有効です。
Outlookの保存先を変更できない時の対処法

ここまではデータファイルそのものを移動させる話をしてきましたが、「やりたいことはちょっと違うんだ」という方もいるかもしれません。例えば、添付ファイルの保存先を変えたい場合や、そもそも「新しいOutlook」を使っていて設定画面が見当たらない場合などです。ここからは、そうしたケース別の対処法を見ていきましょう。
添付ファイルの保存先フォルダを固定する
メールに添付されたファイルを保存する際、毎回「マイドキュメント」が開いてしまって、いちいちデスクトップや特定のフォルダを指定し直すのが面倒だと感じたことはありませんか?
実はこれもレジストリでDefaultPathという値を設定することで、「名前を付けて保存」の初期フォルダを固定することができます。業務で特定のプロジェクトフォルダに保存することが多い場合などは、この設定をしておくだけで日々のクリック数を大幅に減らせるはずです。
ただし、最近のOutlookではAIが「最近使ったフォルダ」を優先的に提案してくる機能も実装されているため、必ずしも設定通りにならない場合がある点は覚えておいてください。
新しいOutlookにおけるデータ保存の仕組み
最近Windowsに標準搭載されるようになった「新しいOutlook(New Outlook)」を使っている方も増えてきました。アイコンに「New」や「Pre」と書いてあるバージョンですね。
結論から言うと、新しいOutlookでは、ここまで解説したOSTやPSTの移動テクニックは一切使えません。
なぜなら、新しいOutlookはWeb版のOutlookをアプリのように見せているだけで、データの実体はすべてクラウド(サーバー)上にあるからです。ローカルに巨大なデータファイルを持たない設計になっているため、そもそも「保存先を変更する」という概念自体が存在しないのです。Cドライブの容量を気にする必要がなくなったという意味では進化と言えるでしょう。
Outlook2016や365など版別の違い
Outlookはバージョンによって、設定やレジストリの場所が微妙に異なります。特にレジストリを操作する場合は、バージョン番号(例:16.0や15.0)を間違えないように注意が必要です。
- Outlook 2016 / 2019 / 2021 / Microsoft 365: バージョンは「16.0」です。
- Outlook 2013: バージョンは「15.0」です。
基本的には2016以降であれば共通の手順で対応できますが、古いバージョンを使っている場合はメニューの名称などが異なることがあるので、自分の環境に合わせて読み替えて作業してくださいね。
共有サーバーなどネットワークドライブの利用
企業で使っている場合、「個人のPCではなく、会社のファイルサーバー(NAS)にPSTファイルを置いて共有したい」と考える方もいると思います。バックアップもしっかりされているサーバーなら安心だと思いますよね。
しかし、MicrosoftはネットワークドライブへのPST配置を公式に禁止(非推奨)としています。
なぜダメなのか?
PSTファイルはデータベースのような構造をしており、常に細かい読み書きを行っています。ネットワーク越しだと通信の瞬断や遅延でファイルが破損(壊れる)するリスクが非常に高いのです。「メールが開けなくなった」というトラブルの多くがこれが原因です。
どうしてもサーバーに保存したい場合は、一度ローカルに保存したものを、Outlookを使っていない夜間などにバックアップコピーとして転送する運用をおすすめします。
まとめ:Outlookの保存先を変更する重要性

Outlookのデータ保存先変更について、基礎知識から裏技的な手法までご紹介してきました。Cドライブ、特にSSDの容量不足はPC全体のパフォーマンス低下を招く深刻な問題です。グレーアウトしていて一見変更不可能に見える保存先ですが、自分の環境に合った方法(レジストリ操作やシンボリックリンクなど)を選べば、確実にDドライブなどの大容量ストレージへ退避させることが可能です。
ただし、レジストリ操作やコマンド操作にはリスクも伴います。「正確な情報は公式サイトをご確認ください」という前提のもと、まずはバックアップを取ってから、慎重に作業を進めてみてください。快適なメール環境を取り戻せば、日々の業務効率も間違いなくアップするはずですよ。

