Googleスプレッドシートで資料を管理していると、「参考資料のPDFも一緒に貼り付けたい」と考えることはありませんか。スプレッドシートへのPDFの貼り付けは、多くの方が疑問に思う操作の一つです。
この操作には、実はいくつかの異なる方法があります。例えば、PDFへのリンクを挿入する手法や、PDFの内容を画像として貼り付ける手法が考えられます。また、スマホやiPadからの操作方法、貼り付けたPDFの編集の可否、さらには無料の変換ツールを使ったデータの活用まで、知っておくべき点は多岐にわたります。
日々の業務で使うメール添付と、スプレッドシート上で管理する方法の違いを理解することも、効率化には欠かせません。この記事では、スプレッドシートへのPDFの貼り付けに関するこれらの疑問や方法を、一つひとつ丁寧に解説していきます。
この記事を読むことで、以下の点について理解を深めることができます。
- スプレッドシートにPDFを貼り付ける基本的な2つの方法(リンクと画像)
- PCだけでなくスマホやiPadを使った場合の操作手順
- 貼り付けたPDFデータを編集・活用するための具体的なアプローチ
- ファイル管理におけるリンク共有(スプレッドシート)とメール添付の違い
スプレッドシートへPDFを貼り付けする基本

- PDFのリンクを取得する手順
- リンクをセルへ挿入する流れ
- 画像で貼り付ける別の方法
- スマホからの操作は可能か
- ipadでの貼り付け手順
PDFのリンクを取得する手順
GoogleスプレッドシートにPDFを直接埋め込む機能はありません。そのため、PDFファイルを共有可能な場所に保存し、そこへの「リンク」を取得する手順が一般的です。この方法は、Googleドライブを活用することで簡単に行えます。
まず、ご自身のGoogleドライブを開きます。次に、スプレッドシートに貼り付けたいPDFファイルを、ドライブの画面上にドラッグ&ドロップするか、左上の「新規」ボタンから「ファイルのアップロード」を選択してアップロードします。
アップロードが完了したら、対象のPDFファイルを右クリックし、「共有」メニューから「リンクを取得」を選びます。ここで大切なのは、リンクの共有設定です。初期設定では「制限付き」になっていることが多いため、このままでは他の人がリンクを開けません。
そこで、「制限付き」と表示されている部分をクリックし、「リンクを知っている全員」に変更する必要があります。この設定により、あなたが発行したリンクを知っている人であれば、誰でもPDFを閲覧できるようになります。設定を変更したら、横にある「リンクをコピー」ボタンをクリックし、「完了」を押して画面を閉じます。これで、PDFへの共有可能なリンクがクリップボードにコピーされた状態になります。
リンクをセルへ挿入する流れ
前述の通り、GoogleドライブでPDFの共有リンクを取得したら、次はそのリンクをスプレッドシートのセルに挿入します。この操作により、スプレッドシートの特定のセルから、該当のPDFファイルへ直接アクセスできるようになります。
操作は非常に簡単です。まず、リンクを貼り付けたいスプレッドシートを開き、任意のセルを選択します。続いて、選択したセルを右クリックし、表示されるメニューから「リンクを挿入」を選びます(または、メニューバーの「挿入」から「リンク」を選択するか、ショートカットキーのCtrl + Kを押す方法もあります)。
ダイアログボックスが表示されたら、「リンク」という欄に、先ほどGoogleドライブでコピーしたPDFのURLを貼り付けます。「テキスト」という欄には、セルに表示させたい文字列(例えば「参考資料A」や「請求書PDF」など)を入力します。もし、このテキスト欄を空欄のままにすると、セルには長いURLがそのまま表示されることになります。
テキストとリンクの入力が完了したら、「適用」ボタンをクリックします。これで、指定したセルにPDFへのリンクが設定されました。セルにマウスカーソルを合わせると、PDFのプレビュー(サムネイル)が表示され、セルをクリックすることで新しいタブが開き、PDFファイルの内容を確認できます。
画像で貼り付ける別の方法
PDFファイルへのリンクではなく、PDFの内容自体をスプレッドシート上で視覚的に確認できるようにしたい場合もあります。このようなケースでは、PDFを画像ファイル(例えばJPEGやPNG形式)に変換し、その画像をスプレッドシートに挿入する方法が有効です。
この方法の利点は、リンク先をクリックして別ファイルを開く手間がなく、シートを見ただけでPDFの内容(例えばグラフや特定のページ)を把握できる点にあります。
手順としては、まずPDFを画像に変換する必要があります。専用のオンライン変換ツール(多くは無料で利用可能です)を使うか、Adobe AcrobatのようなPDF編集ソフトの「スナップショット」機能や、PCのスクリーンショット機能を利用して、PDFの必要な部分を画像として保存します。
画像ファイルの準備ができたら、スプレッドシートに戻ります。メニューの「挿入」から「画像」を選択し、「セル内に画像を挿入」または「セル上に画像を挿入」のどちらかを選んで、先ほど保存した画像ファイルをアップロードします。
ただし、この方法には注意点もあります。挿入されるのはあくまで「画像」であるため、PDF内のテキストをコピーしたり、検索したりすることはできません。また、複数ページにわたるPDFの場合は、すべてのページを画像化して貼り付けると大変な手間がかかるため、表紙や要約ページなど、一部を代表として貼り付ける使い方が現実的です。
スマホからの操作は可能か
スプレッドシートへのPDFの貼り付け(リンク挿入)は、PCだけでなくスマートフォン(iPhoneやAndroid)からでも操作が可能です。基本的な考え方はPC版と同じで、GoogleドライブアプリとGoogleスプレッドシートアプリの2つを使用します。
まず、Googleドライブアプリを開き、PCの場合と同様にPDFファイルをアップロードします。アップロードしたファイルのメニュー(通常はファイル名の横にある「…」アイコン)から「リンクの共有」をオンにし、「リンクをコピー」します。このとき、PC版と同様に「アクセス管理」または「共有設定」で、「リンクを知っている全員」が閲覧できるように権限を変更することを忘れないようにしてください。
次に、Googleスプレッドシートアプリを開き、リンクを挿入したいセルをタップします。画面上部または下部に表示される編集メニューから「+」(挿入)アイコンをタップし、「リンク」を選択します。「リンク」の欄に先ほどコピーしたURLをペーストし、「テキスト」欄に表示名を入力して完了です。
このように、スマホからでも一連の作業は完結できます。ただし、画面の大きさや操作性の違いから、PCでの作業に比べると、ファイルのアップロードや権限設定の確認がやや煩雑に感じるかもしれません。
ipadでの貼り付け手順
iPadでの操作も、基本的には前述のスマホ(iPhone)の場合とほぼ同じ手順でPDFのリンクを貼り付けることができます。iPadはスマホよりも画面が大きいため、PCに近い感覚で操作できる利点があります。
まず、iPadにインストールされているGoogleドライブアプリを起動し、対象のPDFファイルをアップロードします。次に、アップロードしたファイルの共有設定を開き、「リンクを知っている全員」が閲覧できるように権限を設定した上で、「リンクをコピー」します。
続いて、Googleスプレッドシートアプリを開きます。リンクを挿入したいセルをタップして選択状態にし、画面上部の「+」(挿入)ボタンから「リンク」を選択します。表示されたダイアログに、コピーしたリンクと、セルに表示したいテキストを入力し、「適用」または「挿入」をタップすれば完了です。
また、iPadの画面分割機能(Split View)を使えば、Googleドライブとスプレッドシートを同時に表示しながら、ドラッグ&ドロップでリンク情報をコピー&ペーストするといった、より効率的な作業も可能になる場合があります。画像として貼り付ける場合も、スクリーンショットを撮ってからスプレッドシートの「挿入」メニューで「画像」を選ぶ流れで対応できます。
スプレッドシートPDF貼り付け後の活用

- 貼り付けたPDFの編集について
- PDFをExcelに変換する
- 無料で使えるPDF変換ツール
- PDFを画像として挿入する
- メール添付との違いを解説
- スプレッドシートPDF貼り付けの総括
貼り付けたPDFの編集について
スプレッドシートにPDFのリンクを貼り付けた後、そのPDFの内容を修正したいと考えることがあるかもしれません。ここで明確にしておくべき点は、スプレッドシートの機能では、リンク先のPDFファイルを直接編集することはできないということです。スプレッドシートは表計算ソフトであり、PDF編集ソフトではないため、貼り付けたリンクはあくまでファイルへの「出入り口」に過ぎません。
もしPDFの内容を編集したい場合は、リンク先であるGoogleドライブに保存されている元のPDFファイルを操作する必要があります。
一つの方法は、PDFを一度ダウンロードし、Adobe Acrobatや他のPDF編集専門ソフトを使って内容を修正し、再度Googleドライブにアップロードし直す(上書きする)ことです。
もう一つの代替案として、PDFがテキスト主体で構成されている場合、GoogleドライブでそのPDFファイルを右クリックし、「アプリで開く」から「Googleドキュメント」を選択する方法があります。これにより、PDFの内容がテキストとして抽出され、Googleドキュメント上で編集可能になります。編集後、必要なテキストをコピーし、スプレッドシートのセルに直接貼り付けることもできます。ただし、この方法はPDFのレイアウト(表や画像の位置)が大きく崩れる可能性があるため、注意が必要です。
PDFをExcelに変換する
PDFファイルの内容がテキストや数値の「表」である場合、そのデータをスプレッドシートで再計算したり、並べ替えたりして活用したいと考えるのは自然なことです。しかし、PDFのリンクを貼り付けただけでは、それは不可能です。
このような場合に非常に有効な手段が、PDFをExcel(.xlsx)形式に変換することです。PDFを表計算ソフトで扱える形式に変換できれば、その後のデータ活用が一気に容易になります。
具体的な手順としては、まずPDFからExcelへの変換が可能なツール(オンラインサービスまたは専用ソフト)を使って、PDFファイルを.xlsxファイルに変換します。変換が完了したら、Googleスプレッドシートを開き、メニューの「ファイル」から「インポート」を選択します。
「アップロード」タブを選び、先ほど変換したExcelファイルを指定してインポートします。インポートのオプション(新しいシートを作成する、現在のシートに挿入するなど)を選択すれば、PDFの表データがスプレッドシートのセルに展開され、編集や計算が可能な状態になります。
ただし、変換の精度は元のPDFの作りや使用するツールによって異なり、特に複雑なレイアウトの表はうまく変換できない場合もあるため、留意が必要です。
無料で使えるPDF変換ツール
前述の通り、PDFをExcelや画像に変換する作業は、スプレッドシートでPDFデータを活用する上で非常に役立ちます。幸いなことに、このような変換機能を提供するツールは、オンライン上に無料で利用できるものが数多く存在します。
例えば、「iLovePDF」や「Smallpdf」といったWebサービスは、登録不要でブラウザ上からPDFファイルをアップロードし、Excel、Word、JPEG(画像)など、様々な形式に変換できる機能を提供しています。
これらの無料ツールのメリットは、何といってもコストがかからない点と、ソフトウェアをPCにインストールする必要がないため、手軽に試せる点です。
一方で、無料であることのデメリットや注意点も理解しておく必要があります。多くの無料サービスでは、1日に変換できる回数やファイルサイズに制限が設けられている場合があります。また、機密性の高い情報(契約書や個人情報など)が含まれるPDFファイルを、インターネット上のサーバーにアップロードすることには、情報漏洩のセキュリティリスクが伴います。さらに、無料ツールの場合、特にOCR(光学的文字認識)機能が搭載されていないと、スキャンされた画像ベースのPDFはテキストとして認識されず、うまく変換できないこともあります。
PDFを画像として挿入する
PDFの内容を画像としてスプレッドシートに挿入する方法は、主に2つの目的で使い分けられます。一つは「セル内に画像を挿入」する方法、もう一つは「セル上に画像を挿入」する方法です。
「セル内に画像を挿入」する
この方法は、画像(この場合はPDFから変換した画像)を、特定のセルの中にぴったり収まるように挿入します。画像はセルの「値」の一部として扱われるため、そのセルをコピー&ペーストしたり、並べ替えやフィルタを適用したりすると、画像も一緒に移動します。
例えば、管理表のサムネイルとして、各行に対応するPDF(の表紙画像)を一覧表示したい場合に適しています。セルのサイズを変更すると、画像も自動的に伸縮します。
「セル上に画像を挿入」する
この方法は、画像をスプレッドシートの「上」に浮かぶ形で配置します。画像は特定のセルに縛られず、シート上の任意の位置に自由に移動させたり、サイズを変更したりできます。
例えば、スプレッドシートのデータ(表)の横に、参考資料としてPDFから切り抜いたグラフや図を大きく表示しておきたい場合に適しています。この画像は、セルの並べ替えやフィルタリングの影響を受けません。
どちらの方法も、メニューの「挿入」から「画像」へと進み、目的に応じて「セル内」または「セル上」を選択することで実行できます。
メール添付との違いを解説
PDFなどのファイルを他者と共有する際、古くから使われている方法は「メール添付」です。一方、スプレッドシートにPDFのリンクを貼り付けて共有する方法は、これとどう違うのでしょうか。両者の特性を理解することは、業務の効率化において大切です。
最大の違いは「情報の更新性」と「一元管理」にあります。
メール添付は、送信した時点でのファイルの「コピー」を受信者に渡す行為です。もし元のファイルに修正が発生した場合、修正版を再度メールで送り直さなければならず、受信者の手元には古いファイルと新しいファイルが混在することになります。
対して、スプレッドシート(Googleドライブ)でのリンク共有は、常に「原本」である一つのファイルを参照する仕組みです。Googleドライブ上にある元のPDFファイルを更新すれば、スプレッドシートのリンク先も自動的に最新の状態に切り替わります。これにより、関係者全員が常に最新の情報を参照できる状態が保たれます。
また、ファイルサイズにも違いがあります。メール添付は容量制限(例えば25MBまでなど)に引っかかることがありますが、リンク共有であればシート自体は重くならず、大容量のPDFでも問題なく共有可能です。
| 比較項目 | スプレッドシート (リンク共有) | メール添付 |
| ファイル更新 | 原本を更新すれば全員が最新版を閲覧 | 更新の都度、再送付が必要 |
| バージョン管理 | 常に単一の最新版(一元管理) | どれが最新版か混乱しやすい |
| アクセス制御 | 「閲覧のみ」「コメント可」など権限設定が可能 | 送信後の制御が困難 |
| ファイル容量 | 大容量ファイルもリンクで共有可能 | 送信容量に制限がある |
スプレッドシートPDF貼り付けの総括

この記事では、GoogleスプレッドシートにPDFを貼り付ける様々な方法について解説しました。最後に、重要なポイントをまとめます。
- スプレッドシートにPDFを直接埋め込む機能はない
- 最も一般的な方法はPDFへのリンクを挿入すること
- リンク挿入にはGoogleドライブへのPDFアップロードが必須となる
- ドライブで「リンクを知っている全員」に共有設定を変更する必要がある
- リンクの挿入はPCのブラウザからだけでなくスマホやiPadのアプリからも可能
- PDFの内容をシート上で視覚的に確認したい場合は画像として貼り付ける
- 画像として貼り付けるにはPDFを画像ファイルに変換する前準備が必要
- 画像挿入には「セル内」と「セル上」の2種類があり用途で使い分ける
- 「セル内」の画像はセルのデータの一部として扱われ並べ替えに追従する
- 「セル上」の画像はシートに浮かぶ形で自由に配置できる
- スプレッドシート上では貼り付けたPDF(リンク先)を直接編集できない
- PDFの編集には専門のソフトを使うかGoogleドキュメントでテキスト化する
- PDF内の表データを活用したい場合はExcel形式への変換が有効
- Excel変換したファイルはスプレッドシートにインポートして利用する
- PDFからExcelや画像への変換には無料ツールも多く存在する
- 無料ツールは機能制限やオンライン利用時のセキュリティリスクに注意する
- リンク共有はメール添付と異なりファイルの一元管理とリアルタイム更新に優れる
