「さくらインターネットはひどい」という評判を目にして、就職や転職を考える際に不安を感じていませんか。ネット上には様々な情報が溢れており、一体どの声を信じれば良いのか迷ってしまうのも無理はありません。良い評判もあれば、過去の炎上に関する厳しい意見も見受けられます。
この記事では、そうした漠然とした不安を解消するため、さくらインターネットの客観的な情報を提供します。巷で囁かれる評判の真偽から、実際の労働環境を示唆する激務の噂、年収や退職金といった待遇面、さらには企業の安定性を示す株価や将来性まで、深く掘り下げていきます。また、就職難易度や採用大学の実績、そしてホワイト企業としての認定状況など、多角的な視点から「さくらインターネットはひどい」という言葉の裏にある実態を明らかにしていきます。
この記事でわかること
- さくらインターネットに関するネット上の評判の真相
- 年収や労働環境(激務)などのリアルな実態
- 株価や炎上から見る企業の安定性と将来性
- 就職難易-度や採用大学、ホワイト企業としての側面
さくらインターネットはひどい?評判と労働環境の実態

- ネットでの評判を徹底調査
- 過去の炎上はなぜ起きたのか
- 気になる就職難易度と選考
- 主な採用大学の学歴フィルター
- 巷で噂される激務の実態とは
ネットでの評判を徹底調査
さくらインターネットの評判を調べると、肯定的な意見と否定的な意見の両方が見られます。このため、一概に「ひどい」と断定するのは難しい状況です。
肯定的な評判としては、長年の運営実績に裏打ちされたサービスの安定性や、比較的安価な料金設定を評価する声が多く挙がっています。特に個人ブロガーや中小企業からは、コストパフォーマンスの良さが支持されているようです。20年以上にわたって利用し続けているユーザーもおり、長期的な信頼を得ている側面がうかがえます。
一方で、否定的な評判も存在します。特に指摘が多いのは、カスタマーサポートの対応に関するものです。過去には「返信が遅い」「対応が不十分」といった口コミが見られました。また、サーバーの表示速度に関しても、他社の高速サーバーと比較して見劣りするという意見が散見されました。ただし、速度に関しては2022年の新サーバー移行によって大幅に改善されたとの声もあり、過去の評判が現在も当てはまるとは限りません。
以上のことから、ユーザーがどの点を重視するかによって評価が大きく分かれていると考えられます。価格や安定性を重視するユーザーからは高い評価を、サポートの質や最新の高速性能を求めるユーザーからは不満の声が上がることがある、というのが実情に近いでしょう。
過去の炎上はなぜ起きたのか
さくらインターネットは、2019年12月にネット上で大きな炎上を経験した過去があります。この出来事が「ひどい」という評判の一因となっている可能性があります。
炎上の発端は、あるエンジニアが技術情報共有サイト「Qiita」に投稿した記事でした。投稿者は、さくらインターネット側の都合によるサーバー移設作業後、深刻な接続トラブルに見舞われ、その後のサポート対応も不適切であったと時系列で詳細に報告しました。この記事は多くのエンジニアの共感を呼び、瞬く間に拡散されたのです。
当初、Qiita運営側がこの記事を「業務妨害」として非公開にしたことで、かえって「さくらインターネットによる圧力ではないか」という憶測を呼び、さらに炎上が拡大しました。
最終的に、さくらインターネットは2019年12月27日に公式な謝罪文を発表します。その中で、投稿された記事の内容が、2017年に実施したメンテナンス時のハードウェア故障とオペレーションミスに起因するサーバー停止の件と合致することを認め、当時の対応が不十分であったことを真摯に反省し、謝罪しました。
炎上事案のポイント
ここで重要なのは、トラブルが起きたサービスが「さくらのレンタルサーバ」ではなく、2012年に新規提供を終了していた旧「専用サーバ」サービスであった点です。したがって、現在提供されている主要なレンタルサーバーサービスとは直接関係がありません。
この一件は、技術的なミス以上に、その後の顧客対応のまずさが大きな問題となったケースです。しかし、会社として非を認め正式に謝罪したことで、企業としての信頼回復に努める姿勢を示したとも評価できます。
気になる就職難易度と選考
さくらインターネットの就職難易度は、ITインフラ業界において標準的からやや高いレベルにあると考えられます。同社は日本のインターネット黎明期からサービスを提供する老舗であり、安定した事業基盤と高い技術力を持つため、志望者も少なくありません。
選考プロセスは、一般的にエントリーシート、複数回の面接、そして技術職の場合は技術的な知識を問う面接や課題が課されることが多いようです。特にエンジニア職においては、単なるプログラミングスキルだけでなく、サーバーやネットワークに関する深い知識、問題解決能力が求められます。
面接では、同社の理念である「『やりたいこと』を『できる』に変える」に共感し、自律的に学習し、新しい価値を創造しようとする意欲があるかが重視されます。過去の経験やスキルを具体的に説明し、入社後にどのように貢献したいかを明確に伝える準備が不可欠です。
近年は新卒採用だけでなく、中途採用も積極的に行っています。即戦力となる経験者はもちろん、ポテンシャルを秘めた若手も採用対象となっており、門戸は比較的広いと言えるでしょう。ただし、人気企業であることに変わりはないため、入念な企業研究と自己分析が合格の鍵となります。
主な採用大学の学歴フィルター
さくらインターネットの採用において、明確な学歴フィルターの存在は確認されていません。採用実績を見ると、国公立大学から私立大学、専門学校まで、非常に幅広い教育機関から人材を採用していることがわかります。
とはいえ、事業内容がデータセンター運営やクラウドサービスの提供といった技術的な側面が強いため、情報科学系や理工学系の学部出身者が多い傾向にはあります。例えば、過去の採用実績には、筑波大学、電気通信大学、慶應義塾大学、早稲田大学といった情報技術分野で評価の高い大学の名前が見られます。
しかし、これは技術的な専門性が直接活かせる職種が多いためであり、文系出身者が活躍できないわけではありません。営業、マーケティング、人事、総務といったビジネス系の職種では、学部を問わず多様なバックグラウンドを持つ人材が求められています。
重要なのは、出身大学の名前よりも、個人が持つスキルや経験、そして学習意欲です。特にIT業界は技術の進化が速いため、常に新しい知識を吸収し続ける姿勢が評価されます。したがって、「特定の大学でなければならない」という固定的なフィルターは存在しないと考えて良いでしょう。
巷で噂される激務の実態とは
「さくらインターネットは激務でひどい」という噂についてですが、実態としては「部署や担当業務、時期によって大きく異なる」というのが正確なようです。
激務になり得る側面
データセンターを24時間365日体制で運用・保守しているため、インフラを支えるエンジニアの一部には、障害発生時の緊急対応や夜間・休日のシフト勤務が存在します。これはインターネットインフラ企業の宿命とも言える部分であり、こうした業務を担当する場合は、体力的な負担を感じる可能性があるでしょう。また、大規模なプロジェクトの納期前などは、一時的に業務が集中し、残業時間が増えることも考えられます。
働きやすさを推進する側面
一方で、同社は働き方改革に非常に積極的です。「さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)」と名付けられた制度のもと、フレックスタイム制(コアタイムなし)やリモートワークを全社的に導入しています。2021年5月時点でのリモートワーク実施率は90%を超えており、社員が個々の事情に合わせて柔軟な働き方を選択できる環境が整備されています。
このような取り組みが評価され、後述する「ホワイト企業認定」も受けています。以上のことから、一部の職種ではインフラ企業特有のハードな側面があるものの、会社全体としては「激務」というイメージとは異なり、ワークライフバランスを重視した働きやすい環境づくりが進んでいると言えます。
「ひどい」は嘘?さくらインターネットの待遇と将来性

- 年収は業界内で高い水準か
- 退職金制度は整備されている?
- データセンター事業の将来性
- 安定性を示す株価の推移
- ホワイト企業認定の取得実績
- 結論:さくらインターネットはひどいと言えるか
年収は業界内で高い水準か
さくらインターネットの年収は、IT業界全体で見ると平均的な水準にあると考えられます。口コミサイトなどの情報を総合すると、全社員の平均年収は500万円台後半から600万円台前半で推移しているようです。
もちろん、これは全年齢・全職種の平均値であり、個人の年収は役職、スキル、経験、そして評価によって大きく変動します。技術職、特にクラウド関連の高度な専門性を持つエンジニアは、より高い報酬を得られる傾向にあります。
年代・役職別の年収イメージ
年代/役職 | 年収(推定) | 備考 |
20代(一般社員) | 350万円~500万円 | 経験やスキルに応じて変動 |
30代(中堅・リーダー) | 500万円~700万円 | プロジェクトの責任者などを担う |
40代以上(管理職) | 700万円~1,000万円以上 | 部門のマネジメントを担当 |
※上記は各種情報を基にした推定値であり、実際の給与を保証するものではありません。
給与体系は、年功序列というよりも成果や能力を重視する傾向が強いようです。半期ごとに目標設定と評価が行われ、その結果が賞与や昇給に反映される仕組みになっています。したがって、主体的にスキルアップに励み、会社に貢献することで、年齢に関わらず高い年収を目指すことが可能な環境と言えるでしょう。
退職金制度は整備されている?
さくらインターネットの福利厚生として、退職金に関する制度も整備されています。多くの社員のキャリアプランにおいて重要な要素となるため、この点は安心材料の一つです。
具体的には、確定拠出年金(DC)制度を導入しています。これは、会社が掛金を拠出し、社員自身がその資金を運用して将来の退職給付を形成していく仕組みです。従来の退職一時金制度とは異なり、運用実績によって将来受け取る金額が変動する特徴があります。
この制度のメリットは、社員が自身のライフプランに合わせて運用商品を選択できる点や、転職する際に年金資産を持ち運べる(ポータビリティがある)点です。会社側が掛金を拠出してくれるため、社員は税制上の優遇を受けながら、効率的に資産形成を進めることが可能です。
ただし、退職時にまとまった金額が一時金として必ず支払われる、旧来型の退職金制度をイメージしていると、少し異なるかもしれません。確定拠出年金制度は、長期的な視点で自身の資産を育てていくという現代的な考え方に基づいた制度であり、社員の自律的なキャリア形成を支援する同社の姿勢が反映されていると言えます。
データセンター事業の将来性
さくらインターネットの中核事業であるデータセンター事業の将来性は、非常に明るいと考えられます。現代社会において、データセンターはデジタル社会を支える最も重要なインフラの一つだからです。
その理由は、あらゆる分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速していることにあります。企業のクラウド移行、AI(人工知能)の活用、IoT(モノのインターネット)デバイスの普及、ビッグデータ解析など、すべて膨大なデータを処理・保管する場所を必要とします。このデータの置き場所となるのがデータセンターです。
さくらインターネットは、東京・大阪・北海道(石狩)に大規模な自社データセンターを所有しており、国内でサービスを完結できるという大きな強みを持っています。これは、データの海外流出を懸念する政府機関や大企業にとって、高いセキュリティと信頼性を提供するものです。実際に、政府が推進する「ガバメントクラウド」の提供事業者に選定されるなど、その信頼性は公にも認められています。
今後もデータ量は爆発的に増加し続けると予測されており、データセンターへの需要が減少することは考えにくいです。むしろ、より高性能でエネルギー効率の高いデータセンターが求められるようになり、この分野で長年の実績とノウハウを持つ同社の役割は、ますます重要になっていくでしょう。
安定性を示す株価の推移
さくらインターネットの株価は、同社の事業の安定性と将来性への期待を反映して、市場で注目されています。株価は日々変動するものであり、短期的な上下は避けられませんが、長期的な視点で見ると企業の펀더멘タルズ(基礎的条件)が重要になります。
同社の事業は、レンタルサーバーやクラウドサービスの月額利用料が収益の柱となる「ストック型ビジネスモデル」です。これは、一度契約を獲得すると継続的に安定した収益が見込めるため、業績が急激に悪化しにくいという特徴があります。この安定した収益基盤が、株価を下支えする要因の一つです。
近年では、AIや生成AIのブームを背景に、その計算基盤となるGPU(画像処理半導体)を搭載したクラウドサービスの需要が急増しています。さくらインターネットは、この需要にいち早く対応し、大規模なGPUサーバーへの投資を発表したことから、株価が大きく上昇する局面もありました。これは、市場が同社の将来性を非常に高く評価していることの表れです。
もちろん、大規模な設備投資はリスクも伴いますが、データセンターという成長市場で事業を展開し、時代のニーズに応える投資を積極的に行っている点は、企業の安定性と成長意欲を示すものとして、多くの投資家からポジティブに捉えられています。
ホワイト企業認定の取得実績
さくらインターネットは、「ひどい」という評判とは対照的に、働きやすい企業であることを示す客観的な評価を得ています。その代表的なものが、一般財団法人日本次世代企業普及機構が認定する「ホワイト企業認定」において、「ゴールド」ランクを取得している事実です。
この認定は、企業のホワイト化を総合的に評価する制度であり、「ビジネスモデル/生産性」「ワーク・ライフバランス」「健康経営」「人材育成/働きがい」「ダイバーシティ&インクルージョン」といった複数の項目で厳しい審査が行われます。ゴールド認定は、その中でも高い水準を満たした企業にのみ与えられるものです。
同社が特に評価されているのは、前述した「さぶりこ」という働き方制度です。コアタイムのないフレックス制度、リモートワークの推進、さらには副業を認めるパラレルキャリアの推奨など、社員一人ひとりが自律的に働き方を選び、個人の「働きがい」を追求できる環境づくりに注力しています。
「激務」といったネガティブな噂も一部にはありますが、会社として公式に「働きやすさ」を追求し、第三者機関から高い評価を得ているという事実は、労働環境を判断する上で非常に重要なポイントです。これは、企業が従業員を大切にし、長期的に活躍できる職場を提供しようと努めていることの明確な証左と言えるでしょう。
結論:さくらインターネットはひどいと言えるか

- ネットの評判は良い点と悪い点が混在している
- 過去にサポート対応をめぐる炎上事案があった
- 炎上は旧専用サーバの問題で現行サービスとは異なる
- 現在は公式に謝罪し企業として信頼回復に努めている
- 一部職種ではインフラ企業特有のハードな側面も存在する
- 全社的には「さぶりこ」制度で働き方改革を推進中
- ホワイト企業認定で「ゴールド」を取得している実績がある
- 年収水準はIT業界内で見ると平均的
- 成果やスキルに応じた評価制度が導入されている
- 就職には一定の難易度があるが学歴フィルターはない
- 中核のデータセンター事業は将来性が非常に高い
- クラウドやAI需要の拡大が追い風となっている
- 安定した収益モデルが株価の基盤を支えている
- 「ひどい」という一面的な評価で判断するのは難しい
- 多角的な情報を基に総合的に判断することが大切