Windows11SEとは?サポート終了後の注意点まで解説

教育現場での利用を想定して登場した「Windows11SE」について、関心をお持ちではないでしょうか。このOSは、特定の目的のために設計されており、一般的なWindowsとは多くの点で異なります。

そもそもSEとは何か、どのような特徴を持つ教育用のOSなのか、その詳細が気になるところです。また、学習用のデバイスとして生徒が利用する上で、どのようなメリットや制限があるのかも知っておきたいポイントでしょう。

しかし、このWindows11SEは、すでにサポート期限が告知されており、将来的な終了が決定しています。そのため、入手方法や基本的な設定、アプリケーションを追加する方法だけでなく、サポート終了後にどのような対応が必要になるのか、isoイメージは提供されるのかといった技術的な疑問も含めて、正確な情報を把握しておくことが不可欠です。

この記事では、Windows11SEの基本的な概念から具体的な機能、そしてサポート終了に伴う注意点まで、網羅的に解説していきます。

  • Windows 11 SEの基本的な特徴とコンセプトがわかる
  • 一般的なWindowsとの違いや機能制限を理解できる
  • 2026年10月に迫るサポート終了の詳細がわかる
  • サポート終了後の具体的な移行先や対策を学べる
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教育向けOS、Windows11SEの概要

Windows11SE
  • そもそもWindows 11 SEとは何か
  • 教育用に特化されたシンプルなOS
  • 学習用のUIと生徒の集中を削がない設計
  • OSの入手方法はプレインストールのみ
  • IT管理者による一括設定が基本
  • 許可されたアプリケーションを追加できる

そもそもWindows 11 SEとは何か

Windows 11 SEは、マイクロソフトが2021年11月に発表した、教育市場向けに特化して開発されたオペレーティングシステム(OS)です。主に幼稚園から中学校までの生徒が、学校から支給される低価格なデバイスで利用することを想定して設計されています。

このOSは、GoogleのChromeOSを搭載した「Chromebook」が教育市場でシェアを拡大している状況に対抗する目的で投入されました。そのため、クラウド利用を前提とした「クラウドファースト」の思想を取り入れ、比較的性能が低い安価なパソコンでも軽快に動作するのが大きな特徴です。

ちなみに、「SE」が何の略称であるかについて、マイクロソフトからの正式な発表はありません。「Student Edition」や「Special Edition」など様々な憶測がありますが、特定の略称ではないとされています。このOSは、教育現場のニーズに丁寧に応える形で、Windows 11を基に再構成された特別なバージョンと理解するのが適切です。

教育用に特化されたシンプルなOS

Windows 11 SEが持つ最大の特徴は、教育用途に最適化するために、機能が意図的に簡素化されている点にあります。これは、生徒が学習に集中できる環境を提供し、デジタルの distractions(気を散らすもの)を可能な限り排除するという明確な設計思想に基づいています。

例えば、通常のWindows 11に搭載されている「ウィジェット」機能は、ニュースや天気などの情報が表示されるため、学習の妨げになる可能性があるとして、Windows 11 SEでは削除されています。また、ウィンドウを画面上に整理して表示する「スナップアシスト」機能も、複数のアプリを同時に複雑に操作する必要がないように、左右2画面のシンプルな分割のみに制限されています。

このように、機能をあえて絞り込むことで、生徒は目の前の学習タスクに集中しやすくなります。一方で、一般的なパソコンのようにユーザーが自由にカスタマイズしたり、多様な機能を使ったりすることはできないため、その点はデメリットとも考えられます。

学習用のUIと生徒の集中を削がない設計

Windows 11 SEのユーザーインターフェース(UI)は、学習に集中できるよう、細部にわたってシンプルに設計されています。アプリケーションを起動すると、初期設定で必ず全画面表示になるのはその一例です。これにより、背景に他のウィンドウが表示されることなく、一つの作業に意識を向けやすくなります。

また、システムの設定変更やアプリケーションのインストールは、生徒や現場の教員ではなく、IT管理者によって一元的に管理されるのが基本です。Microsoft Storeへのアクセスはできず、インターネットから自由にソフトウェアをダウンロードすることも許可されていません。

この厳格な管理体制は、生徒が誤ってシステム設定を変更してしまったり、不適切なアプリケーションをインストールしたりするのを防ぐためのものです。セキュリティを確保し、全ての生徒が同じ環境で公平に学習できる端末を維持するという、教育現場ならではの要求に応える設計と言えるでしょう。

OSの入手方法はプレインストールのみ

Windows 11 SEは、一般的なOSのようにソフトウェア単体で購入したり、インターネットからダウンロードしたりすることはできません。このOSを利用するための唯一の方法は、初めからWindows 11 SEがインストールされた状態(プリインストール)で販売されている専用のパソコンを購入することです。

これは、OSとハードウェアが最適に連携し、安定したパフォーマンスを発揮できるように、マイクロソフトとデバイスメーカーが共同で調整しているためです。代表的な搭載デバイスとしては、マイクロソフト自社の「Surface Laptop SE」のほか、Acer、ASUS、LenovoといったOEMパートナー各社からも対応ノートパソコンが提供されていました。

したがって、現在使用しているパソコンに後からWindows 11 SEをインストールするといった利用は想定されていません。この提供形態は、教育機関がデバイスを導入する際に、管理のしやすさと動作の安定性を確保するための重要な方針となっています。

IT管理者による一括設定が基本

Windows 11 SEを搭載したデバイスの運用は、IT管理者によるクラウドベースでの一元管理が前提となります。この管理の中核を担うのが、「Microsoft Intune for Education」というモバイルデバイス管理(MDM)サービスです。

このサービスを利用することで、IT管理者は学校のオフィスから、校内の全てのWindows 11 SEデバイスに対して、遠隔で設定の変更や更新を一括で適用できます。例えば、新しい学習用アプリケーションの配布、セキュリティポリシーの更新、Wi-Fi設定の変更などを、生徒一人ひとりのデバイスに触れることなく実行可能です。

この仕組みは、何十台、何百台ものデバイスを効率的に管理しなければならない学校のIT担当者にとって大きなメリットとなります。ただし、裏を返せば、生徒や教員が個々の判断で設定を自由に変更することはできないという制限にもつながるため、利用シーンに応じた柔軟な対応が難しい側面も持ち合わせています。

許可されたアプリケーションを追加できる

Windows 11 SEでは、生徒や教員が自由にアプリケーションをインストールすることはできませんが、IT管理者は「Intune for Education」を通じて、許可された特定のアプリケーションをデバイスに追加できます。

ただし、どのようなアプリケーションでも追加できるわけではなく、マイクロソフトが事前に検証し、許可したリストに含まれているものに限られます。これには、OSに標準で含まれるWebブラウザの「Microsoft Edge」やOfficeアプリケーション群に加え、サードパーティ製のアプリも含まれます。

利用可能なアプリケーションのカテゴリ

マイクロソフトは、教育現場での利用価値が高いと判断した、以下のカテゴリに属するアプリの実行を許可しています。

  • コンテンツフィルタリングアプリ
  • テスト実行ソリューション
  • 支援技術(アクセシビリティ)
  • 教室でのコミュニケーションアプリ
  • 診断、管理、サポート用のアプリ
  • Webブラウザ(Google Chromeなど)

アプリケーションの種類と対応

アプリの種類説明Windows 11 SEでの対応
プログレッシブ Web Apps (PWA)ブラウザベースで動作し、インストールも可能なWebアプリ✅ 有効
Web アプリブラウザ内で実行されるWebベースのアプリケーション✅ 有効
Win32 アプリケーションいわゆる従来のデスクトップアプリ⛔ 制限付きで有効(管理者が許可した特定アプリのみ)
UWP (ストア) アプリMicrosoft Storeから取得するタイプのアプリ⛔ 制限付きで有効(管理者が許可した特定アプリのみ)

もし教育現場で必要なアプリが許可リストにない場合、学区の担当者がマイクロソフトにリクエストを送信し、審査を経て追加されるプロセスが用意されています。この仕組みにより、OSの安全性と教育的価値を両立させています。

Windows11SEの利用とサポート終了

Windows11SE1
  • isoイメージでのインストールは不可
  • 2026年10月で迎えるサポート期限
  • サポート終了後のデバイスの扱い
  • 今後の移行先として推奨されるOS
  • まとめ:今後の動向に注目すべきWindows11SE

isoイメージでのインストールは不可

Windows 11 SEは、OSのインストールメディアとして一般的に用いられる「isoイメージファイル」の形式では提供されていません。そのため、ユーザーが自分でisoファイルを使ってOSをクリーンインストールしたり、再インストールしたりすることは不可能です。

この方針は、OSの厳格な管理体制とセキュリティを維持するための意図的な設計です。Windows 11 SEは、デバイスメーカーが工場でOSをインストールし、ハードウェアと完全に一体化した状態で出荷されることを前提としています。ユーザーによる自由なインストールの余地をなくすことで、OSが改変されたり、意図しない設定で利用されたりするリスクを根本から排除しているのです。

もしデバイスに不具合が発生した場合でも、ユーザーができる対処は限定的です。基本的には、デバイスに組み込まれている回復機能を利用するか、IT管理者やメーカーのサポートに依頼することになります。このように、システムの整合性を最優先する設計思想が貫かれています。

2026年10月で迎えるサポート期限

Windows 11 SEは、その登場から比較的短い期間で、サポートの終了が公式に発表されています。マイクロソフトによると、Windows 11 SEの全てのサポートは2026年10月に終了します。

具体的には、現在提供されているバージョン24H2が最後の機能更新プログラムとなり、それ以降の新しいバージョンのリリースは行われません。そして2026年10月をもって、セキュリティ更新プログラムの提供、テクニカルサポートなど、全ての公式サポートが打ち切られます。

この早期のサポート終了の背景には、教育市場におけるChromebookとの厳しい競争や、より柔軟性の高い「Windows 11 Pro Education」へ戦略を一本化するマイクロソフトの意図があると考えられます。教育機関でWindows 11 SEを導入している場合は、このサポート期限を念頭に置き、計画的に次のステップを検討することが不可欠です。

サポート終了後のデバイスの扱い

2026年10月のサポート終了日を過ぎても、Windows 11 SEが搭載されたデバイスが直ちに使えなくなるわけではありません。電源を入れればOSは起動し、オフラインでOfficeアプリなどを使用することは可能です。

しかし、サポートが終了したOSを使い続けることには、極めて大きなリスクが伴います。最大の懸念点はセキュリティです。サポート終了後は、新たに発見されたシステムの脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を修正する「セキュリティ更新プログラム」が一切提供されなくなります。

これは、ウイルスやマルウェアといったサイバー攻撃に対して、デバイスが全くの無防備な状態になることを意味します。生徒の大切な個人情報や学習データが漏洩したり、デバイスが不正に操作されたりする危険性が飛躍的に高まるため、サポートが終了したデバイスを、特にインターネットに接続して使用し続けることは絶対に避けるべきです。安全な学習環境を維持するためには、速やかに後継のOSへ移行する必要があります。

今後の移行先として推奨されるOS

Windows 11 SEのサポート終了に伴い、マイクロソフトは後継の選択肢として「Windows 11 Pro Education」への移行を推奨しています。このOSは、その名の通り「Windows 11 Pro」をベースにしており、教育機関向けの初期設定が適用されたエディションです。

Windows 11 SEが機能やアプリを厳しく制限したクローズドな環境だったのに対し、Windows 11 Pro Educationははるかに高い柔軟性を持っています。基本機能はPro版と共通のため、IT管理者のポリシー設定次第では、ユーザーによるアプリケーションのインストールを許可することも可能です。

より高度な学習や多様なソフトウェアを利用したい高校や大学、あるいは教員用のデバイスなど、SEでは対応しきれなかった幅広いニーズに応えることができます。

Windows 11 SEとPro Educationの主な違い

項目Windows 11 SEWindows 11 Pro Education
ベースOSWindows 11 (機能制限版)Windows 11 Pro
主な対象幼稚園~中学校の生徒全ての学年、教員
アプリのインストールIT管理者が許可したアプリのみポリシー次第でユーザーも可能
Microsoft Store利用不可利用可能
管理ツールIntune for Education が中心Intune, グループポリシーなど
柔軟性と自由度低い高い

現在Windows 11 SEを利用している教育機関は、デバイスのハードウェアがWindows 11 Pro Educationの要件を満たしているかを確認の上、計画的なリプレースやアップグレードを進めることが求められます。

まとめ:今後の動向に注目すべきWindows11SE

Windows11SE2

この記事では、教育市場向けに特化して開発されたOS「Windows 11 SE」について、その概要から特徴、そしてサポート終了に伴う今後の対応までを解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。

  • Windows 11 SEは教育市場、特に低年齢層向けのクラウドファーストOS
  • 低価格なデバイスでも軽快に動作するよう設計されている
  • SEという名称に公式な略称はない
  • 生徒の学習への集中を促すため機能が意図的に簡素化されている
  • ウィジェット機能はなく、スナップアシストは2画面に限定される
  • アプリは原則としてIT管理者がIntune for Educationで管理する
  • Microsoft Storeは利用できず、自由にアプリは追加できない
  • OSの入手方法はデバイスへのプリインストールのみ
  • isoイメージファイルの提供はなく、ユーザーによるインストールは不可
  • サポートは2026年10月をもって完全に終了する
  • バージョン24H2が最後の機能更新プログラムとなる
  • サポート終了後はセキュリティリスクが非常に高まるため利用継続は非推奨
  • 後継OSとしてはWindows 11 Pro Educationが推奨されている
  • Pro EducationはSEより柔軟性が高く、幅広いニーズに対応可能
  • 現在SEを利用している教育機関は計画的な移行が必要となる
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