コントロールパネルからパスワードを確認しようとしたら黒丸で隠されていて困ったことはありませんか。Windows資格情報のパスワードを表示する方法を探しても、Web上のパスワードとは違って簡単には見られない仕様になっています。Windows 10やWindows 11でこの問題に直面すると、どうにかして確認したいと焦ってしまいますよね。実はこれにはセキュリティ上の深い理由があるのですが、どうしても必要な場合に使える手段がないわけではありません。今回は、その仕組みと具体的な確認手順について解説します。

- Windows資格情報とWeb資格情報のセキュリティ的な違い
- 標準機能でパスワードが表示できない理由と仕組み
- 外部ツールを使ってパスワードを復元する具体的な手順
- ツール利用時のリスクとセキュリティ上の注意点
Windows資格情報のパスワードは表示不可?仕組みと限界
「自分のパソコンなんだから、保存したパスワードくらい見せてよ!」と私も最初は思いました。しかし、Windowsの資格情報マネージャーを深く調べてみると、そこには「あえて見せない」ための強固なセキュリティ設計が存在していることが分かります。まずは、なぜ標準機能では表示できないのか、その裏側にある仕組みを整理しておきましょう。
Webサイト用とWindows資格情報の決定的な違い
Windowsの「資格情報マネージャー」を開くと、「Web資格情報」と「Windows資格情報」という2つのタブがあることに気づくと思います。ここが最初の混乱ポイントなんですよね。
実は、この2つは似て非なるものです。
| 種類 | 主な用途 | パスワード表示 |
|---|---|---|
| Web資格情報 | EdgeやIEでのWebサイトログイン | 可能(再認証が必要) |
| Windows資格情報 | 共有フォルダ、RDP、アプリ認証 | 不可(ボタンが存在しない) |
Web資格情報は、私たちがブラウザで見る「パスワードの表示」ボタンと同じ感覚で、Windows Helloやログインパスワードを入力すれば平文(実際の文字)で見ることができます。しかし、今回問題にしているWindows資格情報は、OSの深い部分(LSA:ローカルセキュリティ機関)と連携しており、アプリケーションが直接認証を行う仕組みのため、人間が目で見るための「表示ボタン」自体が最初から設計されていないのです。
管理画面の編集でパスワードが黒丸になる理由
Windows資格情報の詳細を開き、「編集」ボタンを押すとパスワード欄が表示されます。しかし、そこには常に「●●●●●●●●」という黒丸が並んでいますよね。
「これをコピーしてメモ帳に貼り付ければ見えるのでは?」と試したことがある方もいるかもしれませんが、残念ながらそれはできません。また、多くの人が「黒丸が8個あるから、パスワードは8文字なのかな?」と推測しがちですが、これも誤解です。
黒丸はただのダミー表示です
実際のパスワードが3文字でも20文字でも、表示される黒丸の数は常に一定(通常は8個前後)です。これは「ショルダーハッキング(肩越しに盗み見られること)」や、桁数からのパスワード推測を防ぐためのセキュリティ対策です。
コマンドプロンプトcmdkeyでは表示されない
GUI(画面操作)がダメなら、黒い画面(コマンドプロンプト)ならいけるのでは?と考えるのがPC好きの性ですよね。私も cmdkey というコマンドを試したことがあります。
cmdkey /list と入力すると、確かに保存されている資格情報のリストはずらっと表示されます。しかし、肝心のパスワード部分はどうなっているかというと、表示されません。あくまで「どこに(ターゲット)」「誰が(ユーザー名)」アクセスできるかという情報しか持っておらず、ここでもパスワード本体は隠蔽されています。
Windows10や11における保存場所の確認
では、そのパスワードの実体はどこにあるのでしょうか。物理的なファイルとしては、以下の場所に保存されていることが多いです。
- Windows Vault(保管庫):
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Vault - 従来の資格情報:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Microsoft\Credentials
ただ、フォルダを開いてファイルを見つけても、中身は暗号化されたバイナリデータ(人間が読めないデータ)になっています。これらは「DPAPI」というWindowsのデータ保護技術を使って、ログインしているユーザーごとのマスターキーで暗号化されています。つまり、単純にファイルをコピーしてテキストエディタで開いても、文字化けした記号が並ぶだけで解読は不可能です。
パスワードを忘れた時に標準機能で確認できるか
結論として、Windowsの標準機能だけで「Windows資格情報」のパスワードを平文で表示させることは不可能です。これはバグではなく仕様です。
もし、共有フォルダやリモートデスクトップのパスワードを忘れてしまった場合、基本的には「パスワードを表示する」のではなく、「パスワードをリセット(変更)して、新しいものを登録し直す」のが正規の手順となります。しかし、どうしても元のパスワードを知りたい(例えば、サーバー側の設定を変えられない等の事情がある)場合は、次項で紹介するような外部ツールに頼る必要が出てきます。
Windows資格情報のパスワードを表示・復元する裏技ツール

標準機能で無理なら、その「暗号化された保管庫(Vault)」をこじ開ける鍵を使うしかありません。ここからは、セキュリティエンジニアや管理者がトラブルシューティングで利用する特殊なツールについて紹介します。
【重要】自己責任でご利用ください
これから紹介するツールや手法は、ご自身の管理下にあるPCでのみ使用してください。他人のPCで使用すると不正アクセス禁止法などに抵触する可能性があります。また、セキュリティソフトに検知されるリスクもあるため、リスクを理解した上で操作してください。
フリーソフトVaultPasswordViewの使い方
この分野で世界的に有名なのが、NirSoftというサイトが公開している「VaultPasswordView」というツールです。これはインストール不要で動作し、Windows 10や11のVault(資格情報保管庫)を解析してくれます。
使い方は非常にシンプルです。
- 公式サイト(英語ですが翻訳すれば読めます)からツールをダウンロードし、解凍します。
VaultPasswordView.exeを右クリックし、「管理者として実行」を選択します。- 自動的にシステム内のVaultファイルがスキャンされ、復号可能なパスワードがあれば一覧表示されます。
私が試した限り、RDP(リモートデスクトップ)の保存パスワードなどはこれで確認できることが多いです。ただし、Windowsのログインパスワード(管理者パスワード)を知っている必要があります。
PowerShellスクリプトで抽出する高度な手法
「フリーソフトをダウンロードするのは怖い」という方もいるかもしれません。上級者向けにはなりますが、PowerShellを使って資格情報にアクセスする方法もあります。
ただし、よく誤解される Get-Credential というコマンドは、パスワードを「取得」するのではなく、「入力を求めるポップアップを出す」ためのものです。保存済みのパスワードを抜き出すには、CredentialManager といった外部モジュールをインポートするか、.NET Frameworkの機能を呼び出す複雑なスクリプトを書く必要があります。
これはコマンド操作に慣れていないとシステムを不安定にする可能性もあるため、基本的には前述の専用ツールを使う方が安全で確実かなと思います。
ツール使用時のウイルス検知リスクと対処法
ここで一つ、大きな壁があります。VaultPasswordViewなどの「パスワードを表示するツール」は、Windows Defenderや市販のウイルス対策ソフトから見ると「ハッキングツール(HackTool)」として認識される可能性が非常に高いです。
ダウンロードした瞬間にファイルが消されたり、「脅威が見つかりました」と警告が出たりすることがあります。これはツール自体がウイルスなのではなく、「悪意のある人がこれを使えばパスワードを盗めてしまう」という挙動そのものが危険視されているためです。
使う場合の一時的な対処法
- 一時的にリアルタイム保護をオフにする(推奨はしませんが、これがないと動かないことが多いです)。
- ツールのフォルダをスキャンの「除外設定」に追加する。
- 使用が終わったらツールはすぐに削除し、セキュリティ設定を元に戻す。
誤った資格情報の削除と再登録による解決策
もし、あなたの目的が「間違ったパスワードが保存されていてログインできないのを直したい」ということであれば、無理にパスワードを表示させる必要はありません。一度削除して登録し直すのが最も早くて健全な解決策です。
- 資格情報マネージャーを開きます。
- 問題のある項目を展開します。
- 「削除」をクリックします。
- 次回、そのサーバーやアプリにアクセスしようとすると、再度パスワード入力を求められるので、そこで正しい情報を入力し「資格情報を記憶する」にチェックを入れます。
これで上書き保存されるので、古いパスワードを見る必要はなくなります。
表示せずに別のPCへ移行やバックアップを行う
「PCを買い替えるから、パスワードを移したい」という場合も、必ずしも中身を見る必要はありません。資格情報マネージャーには「資格情報のバックアップ」と「復元」という機能があります。
この機能を使えば、現在のPCで資格情報をまるごとファイルに書き出し、新しいPCでそれを読み込むことができます。この際、バックアップファイル自体には強力なパスワードをかけることになるので、中身を見ることなく安全に移行が可能です。「見たいわけじゃなく、使いたいだけ」なら、この方法が一番スマートですね。
まとめ:Windows資格情報のパスワード表示の総括
Windows資格情報のパスワードが表示できないのは、意地悪ではなくセキュリティ機能の一部です。それでも、どうしても確認が必要な場合は以下のポイントを思い出してください。
- 標準機能のGUIやコマンドではパスワードは表示できない。
- 確認するには「VaultPasswordView」などの外部ツールが必要になるが、セキュリティソフトに検知されるリスクがある。
- ログインできないだけなら、無理に見ようとせず「削除→再登録」がベスト。
- 移行が目的なら「バックアップと復元」機能を使う。
便利なツールにはリスクも伴います。仕組みを理解した上で、安全にWindowsを活用してくださいね。

