Windows 11にアップグレードしてから、ウィンドウの位置が記憶されないという問題に直面していませんか。せっかく作業しやすいように移動したウィンドウが再起動でリセットされたり、あるいはマルチモニター環境で接続を変えた途端に配置がずれることに、ストレスを感じることは少なくないでしょう。時には、ウィンドウが画面外のどこかに行ったように見えなくなることもあります。
理想は、一度決めた配置やサイズをOSがそのまま位置を記憶してくれることですよね。この記事では、windows11でウィンドウ位置が記憶されない問題について、標準機能であるウィンドウスナップを使ったウィンドウの整列方法から、便利な外部プログラムの活用まで、原因と具体的な解決策を網羅的に解説します。
- ウィンドウの位置やサイズが記憶されない根本的な原因
- Windows 11の標準機能だけでできる基本的な対処法
- マルチモニター環境でウィンドウ配置を維持する設定
- より高度な位置固定を実現する外部プログラムの活用法
windows11でウィンドウ位置が記憶されない原因

- なぜウィンドウの位置はずれるのか
- ウィンドウがどこかに行ったように見える
- 移動したウィンドウが元の場所に戻らない
- 意図せず表示位置がリセットされる
- ウィンドウのサイズも記憶されない問題
なぜウィンドウの位置はずれるのか
ウィンドウの位置が毎回のようにずれる現象には、いくつかの理由が考えられます。これは単なる不具合ではなく、多くはWindowsの仕様や設計思想に起因するものです。
まず基本的な仕様として、Windowsは多くの場合、アプリケーションのウィンドウを最後に閉じた時の位置とサイズを記憶しようとします。しかし、エクスプローラーなどを複数開いている場合は、一番最後に閉じたウィンドウの情報のみが保存されるため、意図した場所で記憶されないことがあります。
また、ディスプレイの解像度や接続構成の変更も大きな原因です。例えば、ノートパソコンを外部モニターに接続したり、スリープから復帰したりすると、OSがディスプレイ環境の変化を検知します。このとき、ウィンドウが画面外に出て操作不能になるのを防ぐため、全てのウィンドウを認識可能なプライマリディスプレイ上に再配置する、という挙動が起こります。これが、ユーザーから見ると「勝手にずれる」と感じる主な要因です。
その他、ディスプレイドライバの不調や、特定のアプリケーションが持つ独自のウィンドウ管理機能が、OSの標準機能と干渉している可能性も否定できません。これらの要因が複合的に絡み合うことで、ウィンドウ位置が安定しない問題が発生すると言えます。
ウィンドウがどこかに行ったように見える
作業中にウィンドウが画面のどこかに行ってしまったように見え、表示できなくなることがあります。これは特に、複数のモニターを使用している環境で、一方のモニターの接続を解除した際によく発生する現象です。OSはセカンダリモニターに表示されていたウィンドウをプライマリモニターに移動させようとしますが、稀に画面の表示領域外にウィンドウが残ってしまうことがあります。
このような状況に陥った際の対処法はいくつか存在します。
タスクバーからの操作でウィンドウを移動させる
最も確実な方法の一つが、タスクバーを利用する手順です。
- タスクバー上にある、見えなくなったアプリのアイコンをマウスオーバーします。
- 表示されたサムネイルの上で右クリックし、「移動」を選択します。もしサムネイルが表示されない場合は、アイコンを「Shift」キーを押しながら右クリックすると、同様のメニューが表示されます。
- マウスポインターが十字の形に変わったら、キーボードのいずれかの矢印キー(↑↓←→)を一度押します。
- その後、マウスを動かすと、見えなかったウィンドウがマウスポインターに追従して現れるので、画面内の好きな位置でクリックして配置を確定させます。
この手順により、画面外にはみ出してしまったウィンドウを確実に呼び戻すことが可能です。
移動したウィンドウが元の場所に戻らない
苦労して整えたウィンドウの配置が、次に起動したときには元に戻ってしまう問題も、多くのユーザーを悩ませています。特に、同じアプリケーション、例えばエクスプローラーのウィンドウを2つ以上開いて作業する場合によく見られます。
前述の通り、Windowsは基本的に「最後に閉じたウィンドウ」の位置とサイズを記憶します。仮に、左側にA、右側にBという2つのエクスプローラーウィンドウを配置していたとします。もしBのウィンドウを最後に閉じた場合、次にエクスプローラーを起動すると、以前Aがあった左側ではなく、Bがあった右側の位置で開かれる可能性が高くなります。
これは、アプリケーションごとに一つの位置情報しか保存していないための仕様です。ユーザーとしては「Aは左、Bは右」というように、複数のウィンドウの配置を個別に記憶してほしいところですが、標準機能ではそこまでの細かな管理は行われません。そのため、作業の終了手順によって次回の起動位置が変わってしまい、「元の場所に戻らない」という感覚につながるのです。
意図せず表示位置がリセットされる
ウィンドウの表示位置が意図せずリセットされる最も一般的なシナリオは、ディスプレイ環境の変更時です。これには、以下のような状況が含まれます。
- ノートパソコンから外部モニター(プロジェクター含む)のケーブルを抜き差しした時
- パソコンがスリープモードに入り、その後復帰した時
- リモートデスクトップ接続を開始または終了した時
- ゲームの起動などにより、画面の解像度が一時的に変更された時
これらの動作は、OSに「ディスプレイ構成が変更された」という信号を送ります。OSは、ウィンドウが操作不可能な画面外領域に配置されたままになることを防ぐため、一種の安全機能として、開かれているすべてのウィンドウを現在アクティブなプライマリディスプレイ上に強制的に集めます。
この親切心が、マルチモニターを日常的に利用し、ウィンドウ配置を固定したいユーザーにとっては、かえって「おせっかい」な機能となり、表示位置が勝手にリセットされるという結果を招いてしまうのです。特に、ノートパソコンをドッキングステーションに接続して利用するようなハイブリッドワーク環境では、この問題が顕在化しやすくなります。
ウィンドウのサイズも記憶されない問題
ウィンドウの位置だけでなく、調整したはずのサイズまで記憶されず、起動するたびにデフォルトの小さなサイズに戻ってしまう問題も、位置の問題と根は同じです。ウィンドウの位置情報とサイズ情報は、多くの場合セットで管理されています。
したがって、前述したようなディスプレイ環境の変更や、最後に閉じたウィンドウの情報を優先するOSの仕様によって位置がリセットされる際には、サイズ情報も同時にリセットされてしまうことがほとんどです。
古くから伝わる対処法として、「Ctrl」キーや「Shift」キーを押しながらウィンドウ右上の「×」ボタンで閉じると、位置とサイズが記憶されやすい、というものがあります。これは、特定の状況やアプリケーションにおいては有効な場合がありますが、Windows 11の全ての環境で万能な解決策とは言えません。
これらのことから、位置とサイズが記憶されない問題は、それぞれ別個の問題ではなく、Windowsのウィンドウ管理システムの仕様に起因する、一連の現象であると理解することが大切です。
windows11でウィンドウ位置が記憶されない時の対策

- ウィンドウスナップでウィンドウを整列
- 閉じた状態をそのまま復元するには
- モニター接続時に位置を記憶させる設定
- 専用プログラムで位置を強制的に固定
- windows11でウィンドウ位置が記憶されない際の総括
ウィンドウスナップでウィンドウを整列
ウィンドウの位置を「記憶」させることとは少しアプローチが異なりますが、ウィンドウを素早くきれいに「整列」させる方法として、Windows 11の標準機能である「ウィンドウスナップ」が非常に有効です。
これは、開いているウィンドウを画面の特定の位置にピタッと吸着させる機能で、特に複数の作業を並行して行う際に生産性を大きく向上させます。ウィンドウの最大化ボタンにカーソルを合わせるか、「Windows」キー + 「Z」キーを押すと、画面分割のレイアウトが表示されます。好きなレイアウトと配置したい場所を選ぶだけで、ウィンドウが自動的にリサイズされ、きれいに整列します。
この機能のメリットは、OS標準のため動作が安定しており、誰でもすぐに使える手軽さにあります。一方で、デメリットとしては、レイアウトがあらかじめ決められたパターンに限られるため、完全に自由な位置やサイズで固定することはできません。
もしこの機能が不要であったり、他のツールと干渉したりする場合は、設定から無効にすることも可能です。「設定」アプリを開き、「システム」>「マルチタスク」と進み、「ウィンドウのスナップ」のスイッチをオフにすることで、この機能を停止させられます。
閉じた状態をそのまま復元するには
OSやアプリケーションの標準的な挙動に頼って、閉じた時の状態をそのまま復元させようとする場合、いくつかの伝統的な小技を試す価値があります。これらは必ずしも成功するとは限りませんが、環境によっては有効な場合があります。
その代表的な方法が、ウィンドウを閉じる際のキー操作です。
- 「Ctrl」キーを押しながら、ウィンドウ右上の「×」ボタンをクリックして閉じる。
- 「Shift」キーを押しながら、ウィンドウ右上の「×」ボタンをクリックして閉じる。
これらの操作は、通常とは異なる方法で終了情報をOSに伝えることで、現在のウィンドウの位置やサイズをレジストリに強制的に書き込ませようとする試みです。特に、一つのアプリケーションで一つのウィンドウしか開かないような使い方の場合に、効果を発揮することがあります。
ただし、この方法はアプリケーション側の実装に依存するため、すべてのプログラムで機能するわけではありません。また、複数のウィンドウを開いている場合には、やはり最後に閉じたウィンドウの状態が優先される傾向にあります。確実性に欠ける方法ではありますが、ツールを導入する前に手軽に試せる一つの手段として覚えておくと良いでしょう。
モニター接続時に位置を記憶させる設定
マルチモニター環境、特にノートパソコンに外部ディスプレイを接続して利用しているユーザーにとって、最も効果的な解決策がWindows 11で強化された設定項目です。
それは、「モニターの接続に基づいてウィンドウの位置を記憶する」という機能です。この設定を有効にすることで、外部モニターの接続を解除した際に開かれていたウィンドウの位置をOSが記憶。次に同じモニターを接続した際に、ウィンドウを自動的に元の位置へ復元してくれます。
この設定を行う手順は以下の通りです。
- 「スタート」メニューから「設定」アプリを開きます。
- 左側のメニューから「システム」を選択し、右側の「ディスプレイ」をクリックします。
- 「マルチディスプレイ」の項目を展開します。
- 「モニターの接続に基づいてウィンドウの位置を記憶する」のチェックボックスをオンにします。
これだけの操作で、ノートパソコンを持ち運んで、デスクに戻ってきて再接続するたびにウィンドウを並べ直す、という煩わしい作業から解放されます。この機能は、まさに「windows11でウィンドウ位置が記憶されない」という問題に対する、Microsoftが用意した直接的な回答の一つであり、対象となるユーザーはまず試すべき設定です。
専用プログラムで位置を強制的に固定
Windowsの標準機能だけでは満足できない、あるいはもっと細かく、確実にウィンドウの位置とサイズを固定したいと考えるユーザーには、専用のプログラムを導入することが最も確実な解決策となります。これらのツールは、ウィンドウの管理機能を拡張し、ユーザーが定義した通りに配置を記憶・復元してくれます。
Microsoft PowerToys (FancyZones)
まず検討したいのが、Microsoft自身が開発・提供している無料のユーティリティ集「PowerToys」です。公式ツールであるため、OSとの親和性が高く、安心して利用できるのが最大のメリットです。
PowerToysに含まれる「FancyZones」という機能を使えば、画面上に複雑なカスタムレイアウトを作成し、そのゾーンにウィンドウをドラッグ&ドロップするだけで、瞬時に指定した位置とサイズに変更できます。一度設定すれば、常に同じ場所にウィンドウを配置することが容易になります。
インストールはMicrosoft Storeから簡単に行え、設定も日本語で分かりやすく作られています。標準のスナップ機能よりもはるかに自由度が高く、こだわりの作業環境を構築したい方には最適な選択肢と言えます。
その他のフリーソフトと特徴比較
PowerToys以外にも、ウィンドウ位置の記憶に特化したフリーソフトは多数存在します。それぞれに特徴があるため、自分の使い方に合ったものを選ぶと良いでしょう。
機能・特徴 | Microsoft PowerToys (FancyZones) | その他のフリーソフト (例: WindowResizer) |
開発元 | Microsoft | サードパーティ開発者 |
主な機能 | 画面分割レイアウトの自由な作成とスナップ機能 | ウィンドウごとの正確な位置・サイズの記憶と復元 |
安心感 | 公式ツールのため非常に高い | 自己責任での利用、セキュリティリスクの考慮が必要 |
導入方法 | Microsoft Storeから容易にインストール可能 | Vector等のサイトからダウンロードし、手動でインストール |
おすすめのユーザー | 高機能で自由なレイアウトを求めるユーザー、安全性を重視するユーザー | 特定のウィンドウを常に同じ場所に固定したいなど、シンプルな機能を求めるユーザー |
これらの専用プログラムを利用すれば、OSの仕様に悩まされることなく、ウィンドウの配置を完全にコントロール下に置くことが可能になります。ただし、サードパーティ製のツールを導入する際は、信頼できる配布元からダウンロードするなど、セキュリティには十分注意してください。
windows11でウィンドウ位置が記憶されない際の総括

この記事では、windows11でウィンドウの位置やサイズが記憶されない問題について、その原因から具体的な解決策までを多角的に解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。
- ウィンドウ位置が記憶されないのはOSの仕様や機能干渉が主な原因
- 基本的に最後に閉じたウィンドウの位置とサイズが記憶される
- マルチモニターの接続解除時はウィンドウがプライマリ画面に集約される
- スリープからの復帰や解像度変更でも配置はリセットされやすい
- 画面外に消えたウィンドウはタスクバーの右クリックメニューから移動可能
- 標準機能「ウィンドウスナップ」は素早い整列に役立つ
- マルチタスク設定でスナップ機能のオンオフを切り替えられる
- マルチモニター利用者は「ウィンドウの位置を記憶する」設定が最も有効
- 上記設定は「システム」→「ディスプレイ」項目内にある
- CtrlキーやShiftキーを押しながら閉じる方法はアプリにより効果が異なる
- より確実な固定には専用プログラムの導入を検討することが推奨される
- Microsoft公式のPowerToysは高機能で安心して利用できる
- PowerToys内のFancyZones機能で自由なレイアウトを作成できる
- サードパーティ製のフリーソフトを利用する際はセキュリティリスクも考慮する
- 自分のPC利用環境や目的に合った解決策を見つけることが大切
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