いよいよ2025年10月に迫ったWindows 10のサポート終了ですが、社内のPC入れ替えが間に合わないという企業担当者の方も多いのではないでしょうか。法人向けのESU(拡張セキュリティ更新プログラム)を利用すれば使い続けられるとはいえ、気になるのはその価格や購入方法ですよね。見積もりを取る前に具体的な費用感を知りたい、いつまで延長期間があるのか正確に把握したいという声もよく耳にします。今回は、そんな悩める担当者のために、ESUの仕組みや導入手順について分かりやすくまとめてみました。

- ESUの正確な価格設定と年ごとに倍増するコストの仕組み
- ライセンスの具体的な購入方法と技術的な認証手順
- 法人向けプランと教育機関向けプランの大きな違い
- Windows 11への移行やVDI活用とのコスト比較
Windows 10 ESUの法人向け価格と購入方法
まずは、多くの担当者の方が一番気にされている「コスト」と「導入ルート」について解説します。単にライセンスを買えば良いというわけではなく、年数経過による価格変動や、少し複雑な認証手続きが必要になるため、事前にしっかりと計画を立てておくことが大切です。
Windows 10 ESUの価格と費用の仕組み
ESUの価格について、まず押さえておきたいのは「年を追うごとに料金が倍になる」という点です。これは、マイクロソフト側があくまで「Windows 11への移行」を推奨しており、ESUは一時的な措置であると考えているためですね。
具体的な価格(1デバイスあたり)は以下のようになっています。
| 年次 | 期間 | 参考価格(ドル) | 日本円目安(※) |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 2025/10 – 2026/10 | $61 | 約9,150円 |
| 2年目 | 2026/10 – 2027/10 | $122 | 約18,300円 |
| 3年目 | 2027/10 – 2028/10 | $244 | 約36,600円 |
※日本円は1ドル150円換算の目安です。実際の為替や販売店の手数料によって変動します。
こうして見ると、3年間使い続けた場合の合計金額は約64,000円にもなります。これだけの費用があれば、エントリーモデルの新品PCや、OSなしのPCが買えてしまうレベルです。
累積型ライセンスの「罠」に注意
「1年目はネットに繋がないからパスして、2年目から契約しよう」と考える方もいるかもしれませんが、これはできません。ESUは累積型(Cumulative)のため、途中から加入する場合でも、過去の年次分(この場合は1年目)の費用もさかのぼって支払う必要があります。
いつまで使える?ESUの期間と延長サポート
ESUが提供される期間は、2025年10月14日のサポート終了翌日から最大3年間、つまり2028年10月までとなります。
ここで注意したいのが、個人向け(コンシューマー向け)ESUとの違いです。個人向けは「1年間のみ」の提供ですが、法人向けは上記の通り「3年間」更新可能です。もし、小規模な事業者の方で個人向けライセンスの情報を参考にされている場合は、計画が狂ってしまう可能性があるので気を付けてください。
また、この期間中に提供されるのは「緊急」または「重要」なセキュリティ更新プログラムのみです。新機能の追加はもちろんありませんし、セキュリティに関係ないバグ修正も行われません。あくまで「最後の手段(Last Resort)」として割り切って使う必要があります。
Windows 10 ESUの購入方法と見積もり
ESUを購入するには、主に以下のルートがあります。
- CSP(クラウドソリューションプロバイダー): 大塚商会やソフトバンク、リコージャパンなどの販売パートナー経由で購入します。多くの中小企業はこのルートになるかと思います。
- ボリュームライセンス(EA等): 大企業向けの一括契約です。
クラウド管理なら割引の可能性も
もし、社内のデバイスを「Microsoft Intune」や「Windows Autopatch」といったクラウドベースのツールで管理している場合、ESUライセンスの割引が適用される可能性があります(約25%オフなど)。これを機に、デバイス管理自体のモダナイゼーションを検討してみるのも良いでしょう。
購入を検討する際は、普段取引のあるリセラーに見積もりを依頼し、「Windows 10 ESU 法人向け」と明確に伝えてください。
教育機関向け価格とアカデミック版の違い
学校や教育機関(Education)の場合、価格体系が劇的に異なります。GIGAスクール構想などで導入された大量の端末を抱える現場への配慮として、非常に安価に設定されています。
- 1年目:$1
- 2年目:$2
- 3年目:$4
法人向けと比べると破格の安さですね。教育予算の制約がある中で、次の端末更新サイクルまでの「つなぎ」として利用するには非常に現実的な選択肢となります。
ESU導入に必要なライセンス認証の手順
ESUは「買えば勝手に適用される」ものではありません。技術的な準備とアクティベーション作業が必要です。
主な手順は以下の通りです。
- OSバージョンの確認: Windows 10 Version 22H2 であることが必須です。古いバージョンの場合はまずアップデートが必要です。
- 更新プログラムの適用: 最新のSSU(サービススタック更新プログラム)をインストールしておきます。
- キーのインストール: 購入後に発行される「MAKキー」を、コマンドプロンプト等を使ってPCにインストールします。
slmgr.vbs /ipk <MAKキー> - ライセンス認証: 年次ごとのアクティベーションIDを指定して認証します。
slmgr.vbs /ato <アクティベーションID>
大量展開にはツールの活用を
数十台、数百台のPCに対して手動でコマンドを打つのは現実的ではありません。VAMT(Volume Activation Management Tool)やIntuneのスクリプト配布機能を使って、一括で適用することをおすすめします。
Windows 10 ESUと法人の移行戦略を比較

ESUの仕様や価格が見えてきたところで、「本当にESUを契約するのがベストなのか?」という点について考えてみましょう。コストをかけて延命するのか、思い切って移行するのか、その判断基準を整理します。
Windows 11へ移行すべきかESUか比較
結論から言うと、「PCの使用年数が4年を超えているなら、買い替えの方がお得」なケースが多いです。
ESUに支払うコストは、ハードウェアの資産価値を生まない、いわば「掛け捨て」の費用です。一方で、Windows 11対応の最新PCにリプレースすれば、動作速度の向上や消費電力の削減など、業務効率に直結するメリットが得られます。
「TPM 2.0」などの要件で今のPCがWindows 11にできない場合、無理にESUで延命するよりも、その予算を新しいPCの購入に充てた方が、中長期的なROI(投資対効果)は高くなるでしょう。
ESU以外の選択肢とクラウドVDI活用
「特定の古いアプリがWindows 10でしか動かない」といった理由で、どうしても環境を残したい場合におすすめなのが、AVD(Azure Virtual Desktop)やWindows 365といったクラウドVDIの活用です。
実は、これらのクラウド上のWindows 10環境を利用する場合、ESUライセンスが無償で提供されるという大きな特典があります。物理PCはシンクライアント化してセキュリティリスクを下げつつ、必要な業務アプリはクラウド上の安全なWindows 10で動かす、というハイブリッドな戦略です。
中小企業が注意すべきESUのデメリット
特に専任のIT担当者がいない中小企業の場合、ESUにはいくつかの「隠れたコスト」やデメリットがあります。
- サポート窓口がない: ESUはセキュリティパッチの提供のみです。OSの不具合やドライバのトラブルで業務が止まっても、マイクロソフトのサポートは受けられません。
- 管理の手間: 毎年契約更新し、新しいキーを適用し直す必要があります。この管理工数は決して無視できません。
「とりあえずESU」で先延ばしにすることは、将来的に技術的な負債を抱え込むことにもなりかねないので注意が必要です。
2025年問題とセキュリティリスクの対策
もし何の対策もせずに2025年10月を迎えてしまうと、企業としてのリスクは計り知れません。ゼロデイ脆弱性が発見された場合、無防備なPCはランサムウェアの格好の標的となります。
また、ISMSやプライバシーマークを取得している企業や、サイバー保険に加入している場合、「サポートされているOSを使用すること」が契約条件になっていることが一般的です。ESUの契約は、単なるPCの保護だけでなく、企業のコンプライアンスや保険の有効性を維持するためにも必須の措置と言えます。
Windows 10 ESUを法人が賢く選ぶ結論
Windows 10 ESUは、あくまで「移行までの時間稼ぎ」のためのツールです。最後に、法人が取るべき現実的なアクションをまとめます。
- 棚卸し(トリアージ): 全てのPCにESUを入れるのではなく、「即入れ替え」「仮想化」「ESUで延命」のグループに分けましょう。
- 最小限の契約: どうしても入れ替えが間に合わないPCにのみ、期間を区切ってESUを導入します。
- 予算の確保: 2年目以降の倍増するコストを経営層に伝え、早めの移行予算を確保します。
2025年10月は終わりではなく、新しい環境へのスタート地点です。ESUという「命綱」を賢く使いながら、計画的に最新環境への移行を進めていきましょう。
※本記事の価格や仕様は執筆時点のマイクロソフトの情報を基にした一般的な目安です。為替レートや契約形態により変動するため、正確な情報は必ずリセラーや公式サイトでご確認ください。

