Windows 11へアップグレードしたいけれど要件を満たしていないと表示されて困っている方は多いのではないでしょうか。愛用しているパソコンのCPUが古かったりTPM2.0に対応していなかったりと、互換性チェックツールで弾かれてしまうのは本当にもどかしいものです。Microsoftの公式サイトを見ても買い替えを推奨されるばかりで、そのまま使い続けるべきか、それとも回避策を使って導入しても大丈夫なのか悩むところですよね。特にコマンド操作やレジストリの変更といった専門的な手順には不安を感じる方もいるはずです。

- 要件未達のPCにWindows 11をインストールする具体的な回避手順
- 最新バージョン24H2で発生した古いCPUへの厳しい制限
- インストール後に発生する警告表示の消し方やアップデートの挙動
- 2025年のWindows 10サポート終了に向けた現実的な選択肢
Windows11アップグレード要件を満たしていない時の回避策
公式のチェックで「要件を満たしていない」と判定されたPCでも、いくつかの手順を踏むことでWindows 11を導入できる場合があります。ここでは、技術的な壁となっている要因を整理し、現在主流となっている回避テクニックについて、私自身の検証経験も交えながら詳しく解説していきますね。
CPU世代の壁とTPM2.0の問題
Windows 11への道を阻む最大の要因は、やはりCPUの世代とTPM(Trusted Platform Module)2.0というセキュリティ要件の2つです。
Microsoftは、セキュリティと安定性を理由に、原則としてIntelの第8世代以降、AMDのRyzen 2000シリーズ以降のCPUをサポート対象としています。これ以前のモデル、例えば第6世代や第7世代のCore i7などは、性能的には十分現役で使えるレベルであるにもかかわらず、足切りされてしまっているのが現状です。
TPMとは?
PCのセキュリティを高めるためのチップです。Windows 11では「TPM 2.0」が必須とされていますが、古いPCではこれより前の「TPM 1.2」しか搭載していなかったり、そもそも搭載されていなかったりすることがあります。
この「要件の壁」は物理的に動かないというよりは、インストーラーが「安全のためにここではじく」という設定をしているケースが大半です。つまり、このチェック機構さえうまく通過できれば、システム自体は問題なくインストールできることが多いのです。
バージョン24H2のPOPCNT制限
ただし、2024年後半にリリースされた大型アップデート「バージョン 24H2」からは状況が少し変わりました。これまでのバージョンでは、どんなに古いCPUでも回避策を使えば理論上はインストールが可能でしたが、24H2では「POPCNT」という命令セットに対応していないCPUが完全に切り捨てられました。
24H2で動作しなくなった主なCPU
- Intel Core 2 Duo シリーズ
- Intel Core 2 Quad シリーズ
- 第一世代 Core i シリーズの一部
これはインストーラーのチェック(ソフトブロック)ではなく、OSのカーネル自体がこの命令を必要とする(ハードブロック)ため、いかなる回避策を使っても起動時にシステムがクラッシュしてしまいます。もしお使いのPCが2010年以前のものである場合は、残念ながらWindows 11への道は閉ざされたと考えたほうがよいでしょう。
公式推奨のレジストリによる回避手順
実はMicrosoft自身も、推奨はしないものの、検証用として公式に回避方法を公開しています。これは主に「TPM 1.2はあるけれどCPUが要件を満たしていない」といったケースで有効な手段です。
レジストリエディタを使って、以下の設定を追加することでインストーラーのチェックを緩和させることができます。
| 場所 (Key) | 名前 (Name) | 種類 (Type) | 値 (Data) |
|---|---|---|---|
| HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\Setup\MoSetup | AllowUpgradesWithUnsupportedTPMOrCPU | REG_DWORD | 1 |
この方法は、OSのシステムファイルを改変するわけではないため、比較的安全性が高いと言えます。企業内の検証などでどうしても古いPCにインストールしたい場合は、まずこの方法を試してみるのが良いかなと思います。
Rufusでチェックを回避する方法
個人的に最も手軽で確実だと感じているのが、インストールメディア作成ツール「Rufus(ルーファス)」を使う方法です。フリーソフトですが非常に高機能で、世界中で利用されています。
Rufusを使ってWindows 11のインストールUSBを作成する際、自動的にポップアップが表示され、以下のチェックボックスにチェックを入れるだけで面倒な要件チェックを無効化したメディアが作れます。
Rufusで自動回避できる項目
- 4GB以上のメモリ、セキュアブート、TPM 2.0の要件を削除
- オンラインMicrosoftアカウントの必須要件を削除(ローカルアカウントで作成可能に)
- データ収集(プライバシー設定)の無効化
特に最新版のRufus 4.6以降では、Windows上から実行する「インプレースアップグレード(上書きインストール)」の制限回避機能も強化されています。USBメモリさえあれば、難しいコマンドを打つことなく、数クリックで「最強のインストーラー」が完成するのは本当に便利ですね。
ISOファイルとコマンドでの回避
もう一つ、裏技的な方法として知られているのが、セットアッププログラムに「自分はサーバーOSですよ」と誤認させるコマンドオプションです。
Windows 11のインストールメディア内にある setup.exe を、コマンドプロンプトから以下のオプション付きで実行します。
setup.exe /product server
こうすることで、クライアント版Windows 11よりも要件チェックが緩いWindows Serverのロジックでインストーラーが起動します。もちろん、インストールされる中身は通常のWindows 11(HomeやPro)です。手元にUSBメモリがない場合や、ISOファイルを直接マウントしてアップグレードしたい場合には、この方法が役立つかもしれません。
Windows11アップグレード要件を満たしていない時の注意点

無事にインストールできたとしても、それで全て解決というわけではありません。要件未達のPCで運用を続けることには、いくつかのデメリットやリスクが伴います。導入後に「こんなはずじゃなかった」とならないよう、注意すべきポイントをしっかり押さえておきましょう。
警告の透かしを非表示にする設定
非対応PCでWindows 11を使っていると、デスクトップの右下に「システム要件を満たしていません」という半透明の透かし(ウォーターマーク)が表示されることがあります。実用上の害はありませんが、常に画面に出ていると気になりますよね。
これもレジストリを操作することで非表示にできます。
| 場所 (Key) | 設定値 |
|---|---|
| HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\UnsupportedHardwareNotificationCache | 「SV2」という名前のDWORD値を作成し、データを「0」にする |
設定後に再起動すると、あの目障りなメッセージが消えているはずです。ただし、設定画面の「システム」項目内には警告が残り続けることが多いので、あくまで「見た目上の対処」と考えてください。
今後のWindows Updateの挙動
一番心配なのがWindows Updateです。現時点(2025年〜2026年)では、毎月のセキュリティ更新プログラムは要件未達PCにも問題なく配信されています。
しかし、年に1回行われるような大型アップデート(機能更新プログラム)は自動では降ってこない傾向にあります。例えば、23H2から24H2へアップデートしたい場合、Windows Updateの画面で待っていても「要件を満たしていない」と表示されたままで一向に進まないことがあります。
手動アップデートの手間
大型アップデートを適用するには、再度Rufusなどで回避済みのインストールメディアを作成し、手動で上書きインストールを行う必要があります。これを「面倒だ」と感じる場合は、運用を見直したほうがいいかもしれません。
Win10サポート終了とESU価格
「こんなに面倒ならWindows 10のままでいいや」と考える方もいるでしょう。ですが、Windows 10は2025年10月14日にサポートが終了します。
Microsoftは救済措置として、有料の延長サポート「ESU(Extended Security Updates)」を個人向けにも提供し始めました。価格は1年目で約30ドル(日本円で約4,500円前後)と発表されています。
ただし、これはあくまで「1年限りの猶予期間」です。企業向けとは異なり、個人ユーザーが2年目以降も延長できる保証はありません。「4,500円払って1年延命する」か、「そのお金を新しいPCの購入資金に充てる」か、冷静な判断が求められます。
Linuxなど代替OSへの移行戦略
もし、Windows専用のソフト(特定の年賀状ソフトや高度なOffice機能など)に依存していないのであれば、思い切ってOS自体を変えてしまうのも一つの手です。
例えば、「ChromeOS Flex」や「Linux Mint」といった軽量なOSなら、Windows 11の要件を満たせない古いPCでもサクサク快適に動作します。Webブラウジングや動画視聴、メール確認程度であれば、これらで全く問題ありません。
古いPCの活用法
- ChromeOS Flex: Googleが提供。動作が軽く、セキュリティも自動更新で安心。
- Linux Mint: Windowsに近い操作感で、初心者でも馴染みやすい。
セキュリティリスクを抱えたまま無理にWindowsを使い続けるより、用途を限定して安全なOSに入れ替えるほうが、PCライフとしては健全かもしれませんね。
Windows11アップグレード要件を満たしていないPCの今後
結論として、要件を満たしていないPCへのWindows 11導入は「技術的には可能だが、運用には覚悟が必要」と言えます。第7世代や第8世代に近いCPUを搭載したPCであれば、回避策を使って導入しても十分快適に使えますし、個人的には資源の有効活用としてアリだと思います。
ただ、24H2でのPOPCNT必須化のように、今後もいつMicrosoftが「梯子を外してくる」か分かりません。メイン機として仕事や重要な取引に使うのはリスクが高いので、あくまでサブ機や趣味の範囲で楽しむことをおすすめします。そして、最終的にはハードウェアの寿命と相談しながら、計画的に新しい環境へ移行していくのがベストな選択かなと思います。
免責事項
本記事で紹介した回避策はMicrosoftのサポート対象外となります。実行によりシステムが不安定になったり、将来的に更新ができなくなったりするリスクがあります。作業を行う際は必ずバックアップを取り、自己責任において実施してください。
