新しいパソコンを購入したり自作したりする際、手元にある古いパソコンのOS代を少しでも節約したいと考えるのはとても自然なことです。Windowsのプロダクトキーを使い回しできるのか、あるいは2台のPCで同時に認証を通してしまってもバレることはないのか、といった疑問を持つ方は非常に多いのではないでしょうか。ライセンス認証の仕組みや違法となるケース、正規の手順でライセンスを移管する方法について正しく理解しておくことは、トラブルを避けるために重要です。

- プロダクトキーの使い回しと正規のライセンス移管の違い
- お持ちのWindowsライセンスが別のPCへ移行可能かの判断基準
- 古いPCから新しいPCへライセンスを移す具体的な手順
- 格安で販売されているプロダクトキーに潜むリスクと注意点
Windowsのプロダクトキーを使い回しする際の基礎知識
まずは、「使い回し」という言葉が持つ意味を整理しつつ、マイクロソフトが定めるライセンスのルールについて見ていきましょう。実は、私たちが普段何気なく使っている「使い回し」には、規約上アウトなケースと、正当な権利として認められているケースの2種類が存在します。
Windowsは2台のPCで同時に使えるか
結論から言うと、1つのWindowsプロダクトキーを2台以上のパソコンで同時に使用することはできません。
Windowsのライセンス規約(EULA)では、基本的に「1ライセンスにつき1台のデバイス」という原則が定められています。たとえば、メインのデスクトップPCですでに認証されているプロダクトキーを、サブのノートPCにも入力して認証を通そうとする行為は、明確な規約違反となります。
技術的な観点からも、マイクロソフトの認証サーバーは常時稼働しており、同じキーが複数の異なるハードウェア(マザーボードなど)で同時にアクティブになっていないかを厳しく監視しています。そのため、仮に一時的に認証が通ったように見えても、すぐに片方、あるいは両方のPCで認証が解除されてしまうでしょう。
注意点
仮想マシン(VirtualBoxやVMwareなど)上でWindowsを動かす場合も、ホストOSとは別の「1台の独立したPC」とみなされます。そのため、ホストOSと同じプロダクトキーを仮想マシン内のWindowsに使い回すことはできません。
使い回しはバレる?認証の仕組みとリスク
「こっそり使えばバレないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、Windows 10やWindows 11の認証システムは非常に高度化しています。
Windowsはインターネットに接続した際、そのPCのハードウェア構成(マザーボード、CPU、MACアドレスなど)を元に生成された「ハードウェアID」をマイクロソフトのサーバーに送信します。もし、同じプロダクトキーから全く異なるハードウェアIDが同時に送信されてくれば、サーバー側で「不正使用」と判定されるのは時間の問題です。
不正利用が検知されると、以下のような制限がかかります。
- デスクトップ右下に「Windowsのライセンス認証を行ってください」という透かしが表示され続ける
- 壁紙の変更やテーマ設定など、個人用設定の一部機能がロックされる
- 最悪の場合、プロダクトキー自体がブロック(無効化)され、二度と使えなくなる
このように、コストを浮かせようとした結果、正規に購入したライセンスまで失ってしまうリスクがあるため、2台同時利用は絶対に避けるべきです。
ライセンスの種類による移管可能・不可の違い
ここが一番重要なポイントなのですが、お持ちのWindowsが「どの種類のライセンスか」によって、新しいPCへの「移管(=古いPCを消して新しいPCで使うこと)」ができるかどうかが決まります。
大きく分けて、以下の3つのパターンがあります。
| ライセンスの種類 | 入手経路の例 | 別のPCへの移管 |
|---|---|---|
| リテール版(パッケージ版) | Amazonや家電量販店で単体購入 | 可能(条件付き) |
| OEM版 | DellやHPなどのメーカー製PCに最初から入っている | 不可 |
| DSP版 | 自作PCパーツ(LANカードなど)と一緒に購入 | 原則不可(パーツとセットなら例外あり) |
特に多いのが、「壊れたメーカー製PCのプロダクトキーを、新しい自作PCに使い回したい」というケースですが、これはOEM版ライセンスのため不可能です。 OEM版はそのパソコン(マザーボード)と運命を共にするライセンスなので、パソコンが寿命を迎えたらライセンスもそこで終了となります。
ポイント
リテール版(パッケージ版)であれば、以前のPCからWindowsを削除することを条件に、新しいPCへライセンスを移行させる権利(移管権)を持っています。これがいわゆる「正規の使い回し」にあたります。
違法になるケースと正規のライセンス移管
ここまでのお話を整理すると、「使い回し」には良い意味と悪い意味があることがわかってきます。
- 違法(規約違反)となるケース:
1つのキーで2台同時に使うこと。または、OEM版のキーを別のPCに無理やり認証させようとすること。
- 正規の手順となるケース(移管):
リテール版のライセンスを持っていて、古いPCでの利用を停止(廃棄やフォーマット)し、その権利を新しいPCに移すこと。
私たちが目指すべきは、後者の「正規のライセンス移管」ですね。これならマイクロソフトも公式に認めている権利ですので、堂々と新しいPCでWindowsを利用することができます。
Windows10や11でのライセンス条項
Windows 10以降、ライセンス管理の方法が少し変わりました。以前のようにプロダクトキーだけで管理するのではなく、「デジタルライセンス」としてMicrosoftアカウントに紐付けて管理されることが一般的になっています。
これにより、リテール版を使っているユーザーは、Microsoftアカウントにログインするだけでライセンスの引継ぎが非常にスムーズに行えるようになりました。ただし、ここで一つ注意点があります。
かつて可能だった「余っているWindows 7や8のプロダクトキーを使って、Windows 10/11を新規インストールして認証を通す」という方法は、2023年9月頃にマイクロソフトによって対策され、現在は利用できなくなっています。 過去に一度でもWindows 10/11にアップグレードした実績があるハードウェアなら大丈夫ですが、これから初めて使う場合は、Windows 7/8のキーは使い回せないと考えたほうがよいでしょう。
Windowsのプロダクトキーを使い回しして移管する手順

それでは、リテール版のライセンスをお持ちの方に向けて、実際に古いPCから新しいPCへライセンスを移管する手順をご紹介します。少しだけコマンド操作が出てきますが、難しいものではありませんのでご安心ください。
旧PCからプロダクトキーを解除する方法
必須ではありませんが、認証トラブルを避けるために、古いPCがまだ起動できる状態であれば、ライセンスの紐付けを解除しておくことをおすすめします。
- スタートボタンを右クリックし、「ターミナル(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を開きます。
- 以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
slmgr /upk - 「プロダクトキーが正常にアンインストールされました」と出ればOKです。
- 念のため、レジストリからもキー情報を削除します。
slmgr /cpky
これで、マイクロソフトのサーバーに対して「このPCでの利用はやめましたよ」という意思表示ができたことになります。もしPCがすでに壊れていて起動しない場合は、この手順を飛ばして新しいPCでの作業に進んでしまって構いません。
新しいPCへライセンスを認証させる手順
次に、新しいPCでWindowsをセットアップします。
インストール中にプロダクトキーを求められた場合は、お持ちのリテール版キー(25桁)を入力してください。もしエラーが出る場合や、インストール後に認証を行う場合は、「プロダクトキーがありません」を選んで先に進め、Windowsが起動してから以下の手順を試します。
- 「設定」>「システム」>「ライセンス認証」を開きます。
- 「プロダクトキーを変更する」の項目にある「変更」ボタンを押します。
- 25桁のキーを入力し、「次へ」をクリックして認証を完了させます。
コマンドプロンプトを使うのが好きな方は、slmgr /ipk XXXXX-XXXXX...(キー入力)の後に slmgr /ato(認証実行)と打つことでも認証可能です。
認証できない場合のエラー対処法
もし認証時にエラーコード:0xC004C008(プロダクトキーが別のデバイスですでに使用されています)が表示された場合は、サーバー側でまだ「古いPCで使われている」と認識されている可能性があります。
この場合、以下の「トラブルシューティングツール」を使った移管手続きが有効です。
トラブルシューティング手順
- 「ライセンス認証」画面のエラー表示の下にある「トラブルシューティング」をクリックします。
- 「このデバイスのハードウェアを最近変更しました」というリンクを選択します。
- Microsoftアカウントへのサインインを求められるので入力します。
- リンクされているデバイス一覧から、以前使っていた古いPCを選択し、「アクティブ化」ボタンを押します。
これで、デジタルライセンスの紐付け先が強制的に新しいPCへと切り替わります。
電話認証ができない時のWeb認証手順
トラブルシューティングでも解決しない場合、以前なら「電話認証(slui 4)」を行っていましたが、最近(2025年〜2026年頃)は電話をかけても自動音声で対応されず、スマホを使ったWeb認証へ誘導されることが増えています。
電話認証窓口に電話をかけると、SMSなどで専用URL(aka.ms/aoh など)が送られてきます。そのサイトにスマホでアクセスし、PC画面に表示されている長い数字(インストールID)を入力することで、認証用の確認IDを発行してもらう形になります。
「電話がつながらない!」と焦らず、アナウンスに従ってスマホでWeb手続きを進めてみてください。Microsoftアカウントへのログインが必要になるケースもあるため、IDとパスワードは手元に用意しておきましょう。
格安プロダクトキー購入のリスク
最後に、もし正規のキーを持っておらず、「Amazonやヤフオクで数百円で売っているキーを買えばいいや」と考えている方がいたら、少し待ってください。
そういった格安キーの多くは、本来は企業向けの「ボリュームライセンス」の切り売りだったり、不正に流出した開発者用キーだったりと、いわゆるグレーゾーン(またはブラック)な代物です。
格安キーの主なリスク
- 購入直後は使えても、数ヶ月後に突然認証が外れて使えなくなる(マイクロソフトに対策される)。
- 当然、公式サポートは一切受けられない。
- クレジットカード情報などが悪用されるリスクがあるサイトでの購入は危険。
「安物買いの銭失い」にならないよう、長く安心してPCを使うためにも、Amazon直販やマイクロソフトストア、大手家電量販店などの正規ルートで購入したリテール版ライセンスを使用することを強くおすすめします。
Windowsのプロダクトキー使い回しに関する総まとめ
Windowsのプロダクトキーの使い回しについて、その仕組みと正しい手順をご紹介しました。
基本的には、「リテール版なら移管(引越し)はOK」「OEM版は使い回しNG」という点を押さえておけば間違いありません。また、2026年現在はWindows 7/8のキーも使えなくなっているため、古いPCからの移行を考えている方は注意が必要です。
正しい知識を持って、快適なWindowsライフを送ってくださいね。

